皆さんの家の台所には、今どんな油が置いてありますか? 定番のサラダ油かもしくはキャノーラ油、ごま油にオリーブオイル。冷蔵庫に亜麻仁油やえごま油を入れているという方もいるかもしれません。
油を避ける時代から選ぶ時代に。以前は油をなるべくとらない方が良いと言われていましたが、最近では量よりも質、つまりどの油を選んで使うかが大事になってきました。それに合わせてスーパーにはさまざまな油が並び、それぞれにいろんな健康効果がうたわれています。
そんな中、私がぜひともオススメしたい油が米油(こめあぶら)です。お米から作られたこの油は和食に合い、健康・美容効果もある優れもの。今回はこの米油の魅力に迫ってみたいと思います。
米油ってどんな油?
米油は玄米を精米する際に出る米糠(ぬか)から作られる油です。そのため、米糠(こめぬか)油とも呼ばれます。色は薄く黄色がかった色をしており、香りはほとんどありません。
炒め物や揚げ物などの加熱料理にも使えますし、口当たりがいいのでドレッシング用の材料として生でも使えます。スーパーに置いてある場合もありますが、自然食品のや通販だと手に入りやすいですよ。
抗酸化成分が病気や老化を防止する
米油は米糠から抽出しているため、米糠に含まれる魅力的な栄養素が豊富に含まれています。中でも注目したいのは、γ(ガンマ)-オリザノールやトコトリエノールといった抗酸化機能成分です。
私たちは日々普通に暮らしているだけで、病気や老化の原因となる活性酸素を体内に作り出しますが、抗酸化成分はこの活性酸素を除去してくれます。
抗酸化成分を食事から得ようとすると、普通は意識して食事を変えなければなりませんが、米油ならば食事に使う油を米油に替えるだけで、手軽に抗酸化成分を取り入れられるのです。
美白効果や更年期障害の緩和にもおすすめ
さらに、γ-オリザノールには美容効果があることもわかっています。
γ-オリザノールにはシミやソバカスの原因となるメラニンの生成を抑える働きがあるのです。更年期障害を緩和したり、血中コレステロールを低下させるなど女性にとって嬉しい働きも持っています。
米油は安心安全な油
普段使う油で心配なのが、遺伝子組換えの問題です。たとえば一般的なサラダ油に使われているのには大豆油や菜種油などがありますが、これらは遺伝子組換えの表示義務がありません。つまり、遺伝子組換えの大豆を使って大豆油を作って販売しても、遺伝子組換え作物を使っている旨を表示しなくても良いのです。
現在、日本の植物性油脂の自給率は2%と、ほぼ輸入品が占めています。さらに大豆は自給率が6%で、輸入先の6割を占めるアメリカでは9割以上の大豆が遺伝子組換え、菜種は自給率が0.04%で9割以上を輸入しているカナダではほぼすべての菜種が遺伝子組換えという状況です。
一方、お米は日本がほぼすべてを自給している数少ない農産物で、そこから作られる米油もほとんどが国産品です。その米油を使うことで自分が安心できるだけでなく、わずか2%しかない植物性油脂の自給率向上にも貢献できてしまいます。
米油は和食にも良く合う油
米油は非常にさっぱりとしているのが特徴で、和食にも良く合います。健康のためにオリーブオイルを使っている人も多いと思いますが、独特の味わいがあるのでちょっと和食には合わなかったりしますよね。
そんなときは、米油をお使いください。オリーブオイルと同じように、悪玉コレステロールを下げるとされるオレイン酸が含まれているので、和食用の健康油としての役割が務まります。
油臭さがないので胃もたれもせず、さらっとしていて洗い物も楽です。ちなみに僕は、加熱調理で香りをつけたい時はごま油を使い、それ以外は米油を使うようにしています。
ということで、今回は米油をご紹介させていただきました。一番身近な食材から作られた油なのに、意外と知らなかったという方も多かったのではないでしょうか。ぜひぜひ実際に米油を手に入れてご家庭で使ってみてくださいね。
【参考】
・日本へのダイズの主要輸入国と最大輸出国における栽培状況の推移(2013) – 農業生物資源研究所
・日本へのナタネの主要輸入国と最大輸出国における栽培状況の推移(2012) – 農業生物資源研究所