健康によく、体に様々な効果があるといわれている発酵食品。しかし、いくら体に良いとはいえ発酵食品を食べ過ぎると体に悪影響を及ぼす場合があります。
この記事では、普段から発酵食品を取り入れ体への効果を実感している管理栄養士が、発酵食品の食べ過ぎによるデメリットを詳しく解説していきます。
発酵食品の適切な量、効果的な食べ方について紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
発酵食品は食べ過ぎに注意。体へのデメリット
発酵食品は健康や美容に効果があることが明らかになっていますが、食べ過ぎると体に負担がかかることがあります。
健康な人であれば症状は一時的ですが、胃腸が弱い方の場合には症状が長引くことがあるため、ご自分の体の状態をよく観察してみましょう。
下痢や腹痛などの症状
発酵食品を食べ過ぎると下痢や腹痛、おならなどの症状が現れることがあります。下痢や便秘症状が出る原因は複数ありますが、発酵食品であるヨーグルトを食べ過ぎると胃腸症状や下痢がみられるケースがあります。
ヨーグルトには整腸作用があるため、便秘解消に効果的ですが、乳糖不耐症の人は体に悪影響が出る場合があります。
ヨーグルトを食べ過ぎて下痢などの症状が頻繁に出る方は、乳製品の発酵食品は摂りすぎないように注意しましょう。
また、FODMAP(フォドマップ)食品への耐性がない体質の方は、発酵食品を食べて下痢や便秘、おならが出るなどのケースがあります。
発酵食品では、ヨーグルト、プロセスチーズ、キムチ、納豆が高FODMAP食品に分類されます。
高FODMAP食品は、健康な人であれば摂取しても問題はありませんが、過敏性腸症候群やSIBO(シーボ・小腸内細菌増殖症)の診断がついている方は気をつける必要があります。
※参考:国立研究開発法人「科学技術振興機構 -当科にて小腸内細菌異常増殖(SIBO)が疑われた5例の臨床的特徴-」
※参考:日本消化器学会「日本消化器病学会ガイドライン -過敏性腸症候群(IBS)ガイドQ&A-」
これら二つの疾患がある方は、発酵食品により胃腸症状が助長するケースがあるため、医師へ相談の上で摂るようにしましょう。
塩分の摂り過ぎでむくみや高血圧の原因となる
味噌や漬物などの発酵食品は整腸作用、悪玉コレステロール抑制、美肌効果をはじめ、人の体に多くの良い影響があることが明らかになっています。
しかし、これらの食品は塩分量が多いため食べ過ぎると、塩分の摂り過ぎでむくみや高血圧のリスクを高めてしまう可能性があります。これは塩分に含まれるナトリウムが体の中で多くなりすぎることで、体は水分を溜め込みやすくなるためです。
食べ過ぎは太る原因に。ダイエット中は特に注意
発酵食品の摂り過ぎは太る原因になることもあります。例えば、チーズは1枚(20g程)60〜80kcalで適量食べる分には太りやすいとはいえないでしょう。
しかし、体に良いからといってたくさん食べ過ぎてしまうと、カロリーオーバーで体重が増える原因になります。
チーズ料理はそのまま食べたり、料理に入れたり、スイーツとして食べるなど豊富な食べ方がありますが、知らず知らずのうちに摂り過ぎている恐れがあります。
食べ過ぎないように食べ方に配慮しましょう。
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食べ過ぎに注意すればこんなにすごい!発酵食品パワー
発酵食品は食べ過ぎると、体に負担がかかる場合はありますが、食べ方に注意していれば体に多くのメリットを感じることができます。発酵食品が体に良い理由について解説していきます。
栄養価が高まる
発酵食品は、微生物の働きによって発酵前と比べると栄養価が高まることが挙げられます。さらに、人は体の中では、食べ物を分解し消化吸収しますが、発酵食品は人が行うべき分解を行ってくれるため、栄養を摂取しやすい状態にしてくれます。
旨味や風味がアップする
発酵により素材が持っている旨味や風味、甘みを引き出してくれ、味が美味しくなることが分かっています。微生物の働きでうまみ成分が生まれ、味に深みが出るため、調味料を多く使用しなくても風味豊かな味になります。
保存性が高まる
微生物の働きにより、劣化が遅くなり保存性が高まります。例えば、牛乳はそのままでは腐敗が進んでしまいますが、チーズやヨーグルトにすることで保存期間が長くなる利点があります。
腸内環境が整い美肌や老化防止効果
発酵食品は、腸内の善玉菌を増やす働きがあるため、悪玉菌の増殖を抑え、腸内環境を改善してくれます。腸内環境が整うと美肌やアンチエイジングにも効果があるといわれています。
発酵食品ってどんなものがあるの?
発酵食品は微生物の働きによって作り出された食品ですが、多様な発酵食品が存在します。下記に代表的な発酵食品の一覧を記載しています。
発酵食品一覧
肉類 | ドライソーセージ、生ハム、サラミ |
---|---|
魚介類 | 鰹節、くさや、アンチョビ |
豆類 | 納豆 |
乳製品 | チーズ、ヨーグルト |
穀類 | パン |
野菜・果物 | 漬物、ぬか漬け、キムチ、ピクルス |
調味料 | 味噌、醤油、みりん、酢、塩麹 |
お茶 | 烏龍茶、紅茶、プーアル茶 |
酒類 | 日本酒、甘酒、ワイン、ビール、焼酎 |
デザート | ナタデココ、チョコレート |
発酵食品を食べ過ぎない、ちょうどいい量って?
発酵食品は体にとって多くのメリットがありますが、食べ過ぎると体に負担がかかりデメリットになることを上記で解説しました。発酵食品を摂るのに決まった分量はあるわけではありませんが、おおよその目安についてご紹介します。
1日の摂取量の目安
- ヨーグルト 1日100〜200g/日
- 納豆 1パック/日
- 味噌汁 2〜3杯/日
※参考:農林水産省「食事バランスガイドとは」
味噌汁ですが、塩分の摂取量が気になる方は、野菜をたっぷり入れた具沢山の味噌汁にしたり、減塩味噌を使うという工夫もおすすめです。
この量であれば毎日食べても摂り過ぎる心配はないため、目安にしてください。また、発酵食品を食べて体に不調が出る場合は、一旦やめてみたり、摂る量を減らすなどの工夫をしてみましょう。
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発酵食品を取り入れてみた、ある1日の献立例
発酵食品の効果を高める工夫
腸内環境を良くするためには、善玉菌が豊富に含まれるぬか漬けや納豆、味噌、酢、キムチ、ヨーグルトなどの発酵食品を摂ることがポイントです。
発酵食品に含まれる善玉菌はオリゴ糖や食物繊維をエサとするため、オリゴ糖や食物繊維が豊富な食材と一緒に摂るとより効果的です。
オリゴ糖や食物繊維は以下の食材に多く含まれます。
オリゴ糖が豊富な食材
玉ねぎ、ごぼう、アスパラガス、ブロッコリー、バナナなど
食物繊維が豊富な食品
穀類、豆類、海藻類、きのこ類、野菜、果物など
発酵食品を豊富に取り入れたメニュー
下記では、発酵食品を取り入れた1日の献立を紹介しています。
- 朝食 オクラめかぶ入り納豆ご飯、玉ねぎとごぼうの味噌汁、白菜の漬物
- 昼食 黒酢入り野菜たっぷり冷やし中華、フルーツ入りヨーグルト
- 夕食 ご飯、白身魚の塩麹ムニエルタルタルソースがけ、サラダ、なめこの大根の味噌汁
発酵食品を効率的に摂るアドバイス
朝食の納豆は、食物繊維が豊富なめかぶやオクラと一緒に摂ると、より腸内で善玉菌を増やしてくれます。また、味噌汁には、オリゴ糖が多く含まれる玉ねぎやごぼうを一緒に摂るのもおすすめです。
昼食の黒酢を使った冷やし中華に食物繊維が多い野菜をたっぷり添えて食べるとより効果的です。デザートのヨーグルトは食物繊維が多い果物と一緒に摂るのも有効です。
夕食の白身魚は、塩麹で漬けることでふっくら柔らかな仕上がりになります。タルタルソースには、きゅうりのピクルスやらっきょうを使用することで発酵食品であるお酢が手軽に摂れます。
今日から発酵食品をちょこっとプラス!簡単レシピ
ご家庭でよく食べられているメニューに発酵食品を加えた簡単レシピをご紹介します。
お酢入りゴーヤチャンプルー
程よい苦味とシャキシャキとした食感が魅力のゴーヤは栄養も豊富。お酢と一緒に摂ることで夏バテを予防しながら発酵食品を摂りましょう。
調理時間の目安:約15分
材料(2人分)
- ゴーヤ
- 1/2本
- 豚薄切り肉
- 80g
- 木綿豆腐
- 1/2丁
- 卵
- 1個
- 玉ねぎ
- 60g
- 油
- 大さじ1
- ☆酢
- 大さじ3
- ☆料理酒
- 大さじ1
- ☆砂糖
- 大さじ1
- ☆醤油
- 大さじ1
- ☆塩こしょう
- 少々
- かつおぶし
- 適量
作り方
- ゴーヤは種を取り除き3mmほどの薄切りにし、塩(分量外)を振り5分程おき水洗いして水気を切っておく。豆腐は一口大に切り水気を切る。玉ねぎは千切りに、豚肉は3㎝ほどに切る。
- フライパンに油を熱し豆腐を入れて両面を焼いて一度取り出す。豚肉を炒め火が通ったらゴーヤー、玉ねぎを入れて軽く炒める。
- 豆腐を戻し入れ、☆の調味料を加え炒め混ぜる。溶き卵を回し入れさっと炒め、最後にかつお節を散らす。
小松菜のごまキムチ和え
ごま油の香ばしさを楽しめるキムチと小松菜の和え物です。忙しいときでも火を使わずさっと作れるレシピです。
調理時間の目安:約10分
材料(2人分)
- 小松菜
- 3株(正味100g)
- ☆キムチ
- 40g
- ☆ごま油
- 小さじ1
- ☆炒りごま
- 少々
作り方
- 小松菜を塩ゆでにして3〜4cmに切って水気を絞る。ボウルに小松菜、☆を入れ混ぜよく合わせる。
発酵食品は毎日取り入れたい!でも食べ過ぎには気をつけて
今回は、発酵食品を食べ過ぎた場合のデメリットについて解説してきました。
発酵食品は多くの効果があるため、メリットばかりが目立っているかもしれませんが、デメリットも存在します。
健康な方であれば、発酵食品を食べ過ぎた場合、一時的な症状で済むことが多いですが、胃腸の弱い方は不調が続くことがあるため、注意してください。
摂り過ぎに注意しつつ、毎日適量を摂ることで発酵食品の効果が感じられるかもしれません。
取り入れやすいものから是非試してみてくださいね。