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酵素と酵母は何が違う?健康になりたい人が必ず通る疑問を解決します◎

執筆者 望月理恵子 | 更新日:2023.12.4

健康志向の方々に注目されている「酵素」、「酵母」ですが、似たような意味合いで紹介されるケースがあるため、この2つの違いをしっかり把握している人は少ないのではないでしょうか。
今回は、健康を維持・増進したいと考えている皆さんに知ってほしい、「酵素」と「酵母」について管理栄養士の筆者が解説します。

酵素と酵母って似ているように聞こえるけど……

疑問

酵素と酵母は似ているように聞こえますが実際は別もので、酵素は生物ではなく、酵母は生物であり、それぞれ違う役割を担っています。
酵素と酵母は別のもので、酵素と酵母を簡潔に説明すると、酵素はタンパク質で酵母は微生物です。

酵素とは?

代謝

酵素はタンパク質の一種で、必要な酵素は体内で作られます。
私たちの体の中で起こる化学反応を促す役割を担っていますが、自身は変化しません。
食べ物の消化、吸収、代謝、排泄など、ほぼすべての段階で機能する重要なタンパク質です。
私たちの体の中には、約5000種類もの酵素が存在していると考えられています。
人間以外の生物(植物、動物、微生物)の体の中でも各々に必要な酵素が生成されています。

酵素のはたらき①

酵素(タンパク質)は、私たちの体の中で起こる化学反応が円滑に行えるように促す働きを担っています。
また酵素は、体の中の老廃物を排泄する反応に関与しています。
酵素の働きを維持できると腸内環境を整えることにつながり、肌荒れや便秘の改善等も期待できます。

酵素のはたらき②

酵素は消化酵素と代謝酵素に大別されており、それぞれ違う作用をもちます。

消化酵素のはたらき

消化酵素は、私たちが食べた物を体の中で分解し、吸収を促進する働きを担っています。
消化酵素の種類としては、アミラーゼ(デンプンを分解する)、プロテアーゼ(タンパク質を分解する)、リパーゼ(脂肪を分解する)等が挙げられます。

代謝酵素のはたらき

代謝酵素は、消化酵素によって体の中で使用できるようになったエネルギーを有効活用するために働いています。(消化酵素以外の酵素全般を代謝酵素と呼ぶ)
例としては、血液循環や新陳代謝の促進、体内の老廃物の排泄、免疫力を高めるなどが挙げられます。

酵素のはたらき③

体内で生成されるのではなく、体外から取り入れる酵素を食物酵素と呼びます。
食物酵素は食品中に含まれている酵素のことで、体の中で働いている酵素を補助する役割を担っています。

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酵母とは?

酵母

酵母とは、私たちの体の中にある糖(有機物)を炭酸ガスとアルコールに分解する微生物(真核生物に属する菌)で、味噌、酒等の発酵食品を製造する際に使用され、味噌酵母、ビール酵母等、それぞれ異なる生物が作用します。
酵母は、カビやキノコ類等と同属の真菌類に属しており、野菜、果物、植物、大気中など、いろいろなものに生息していると考えられています。
ビタミンB群、タンパク質、ビタミンD、葉酸等、私たちの体内で重要な働きを担っている栄養成分が豊富に含まれています。
特にビール酵母は、ビタミン類(9種類)、必須アミノ酸を含むアミノ酸(16種類)、ミネラル(カルシウム、鉄分、マグネシウムを含む7種類)を含んでいるため栄養補給におすすめです。
しかし酵母は、熱に弱いという性質があり、60度程度の温度の環境下ではおよそ10分で消滅してしまうと考えられています。そのため、酵母を生きた状態で摂りたい場合は、発酵食品新鮮な食品から摂るようにしましょう。

酵母のはたらき①

私たちの体の中で糖を炭酸ガスとアルコールに分解し、糖質を必要以上に吸収しないように抑制してくれる働きがあると考えられています。
この働きにより、血糖値上昇の抑制肥満予防などにつながります。
また不必要な糖質を分解することで、体内での消化と吸収を補助する作用も期待できます。

酵母のはたらき②

酵母に含まれる食物繊維の作用により、腸機能が活性化され、スムーズな消化につながります。(便量増加、有害物質の吸収・排出等)
また食物繊維には、不必要な物質の吸収を阻害し便として排出させる作用や善玉菌を増やし腸内環境を整えて便秘を改善する作用があると考えられています。

酵母のはたらき③

糖質の消化・吸収を促進する働きにより、腸の中に食べた物の残りカスが溜まりにくくなると考えられています。

酵母のはたらき④

酵母に含まれるビタミンB群の作用により、体内でのエネルギー産出がスムーズになると考えられています。

酵母のはたらき⑤

酵母に含まれるβ-D-グルカンには免疫力を高める作用があると考えられています。
β-D-グルカンは、マクロファージやNK細胞(血中に存在し体の中に侵入した異物に攻撃を与える働き)を活性化する働きがあります。

こんな身近にも酵素や酵母が!

発酵食品

酵素は加齢に伴い減少しますので、体外から酵素を摂取し、体内の酵素の働きをサポートする必要があります。
体外から酵素を摂取するにはどのようにすれば良いのでしょうか。

身近な酵素

体外から酵素を取り入れるためには、果物、野菜、発酵食品などの食物酵素を豊富に含む食べ物を積極的に摂取するという方法があります。
特に旬の果物や野菜には多くの酵素が含まれているので積極的に摂りましょう。

  • おすすめの野菜
    大根、ニンジン、山芋、ブロッコリー、セロリ等
  • おすすめの果物
    リンゴ、マンゴー、パパイヤ、バナナ、キウイ等
  • おすすめの発酵食品
    味噌、納豆、ぬか漬け、キムチ、ヨーグルト、チーズ、鰹節、醤油等

身近な酵母

酵母にはいろいろな種類があり、発酵食品などに活用されています。
その代表として挙げられる食品がパンです。
パンには、果実種、サワー種、パネトーネ種、ホップス種などの酵母が使用されており各々風味や特徴が違います。
酵母を使用している他の食品として、味噌、日本酒、ビール、ウイスキー、ワイン等が挙げられます。

健康に重要な役割を持つ酵素と酵母

健康に重要な役割を持つ酵素と酵母

今回は、酵素と酵母の違いについてご紹介しました。
酵母などの微生物の多くは、物質に働きかけた際に発するエネルギーを使い増殖します。この時に微生物が出す物質が酵素です。
そして酵素によって作用を受けた副産物が発酵食品です。酵母は多量の酵素を生成するため、酵素の供給源として優秀な存在であり、他の微生物とともに酵素の生成に活用されています。
このように、酵素と酵母はまったく別ものでありますが、互いに関連をもちながら、それぞれが私たちの体にとって非常に重要な働きを担っています。
間違った情報や曖昧な情報に翻弄されず、正しい知識をもって必要なものを取り入れるようにしたいですね。

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執筆者
望月理恵子

管理栄養士。健康検定協会理事長。山野美容芸術短期大学講師、服部栄養専門学校特別講師、小田原銀座クリニック栄養顧問、日本臨床栄養協会評議員。 アンチエイジング、美容、ダイエット、食育の分野で根拠ある栄養情報発信を行なっている。

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監修

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圓尾和紀(まるお・かずき)

管理栄養士。静岡県立大学で修士号を取得後、管理栄養士として総合病院に勤務。現在は独立し、日本の伝統食とファスティングの良さを伝える活動に携わる。メディア出演多数、著書 『一日の終わりに地味だけど「ほっとする」食べ方』(2017年)。

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