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酵素の効能とは|取り入れ方によっては効果がなくなるって本当?

執筆者 加藤文香(かとうあやか) | 更新日:2023.9.29

「酵素を摂るとどんな効能があるのだろう」

「ダイエットや美容に効果があるのか詳しく知りたい」

酵素は健康に良いものだと聞いたことはあるけれど、摂ることでどのような効能があるのか疑問に感じている方は多いのではないでしょうか。

酵素は体にとって不可欠なもので、健康や美容を支えてくれるものですが、間違った取り入れ方をすると効果がなくなってしまうケースがあります。

この記事では、管理栄養士が酵素の効能や効果的な摂り方、酵素が不足する原因について詳しく解説していきます。

酵素のことを知って健康づくりに活かしてください。

そもそも酵素って?

そもそも酵素って?

体になくてはならない酵素ですが、人が生きていくために重要な役割を担っています。

酵素とは一体どういうもの?

酵素は、わかりやすくお伝えすると主にたんぱく質によりできていて、20種類のアミノ酸が組み合わさり構成されています。

体の中では分解、消化、吸収、代謝といった化学反応が絶えず起こっていますが、酵素はこの反応に深く関わっています。

人の体は約5000種類の酵素によって支えられていて、生きていくために不可欠な存在といえます。

では、なぜこれほど多くの酵素があるのかというと、酵素には決まった性質があり1つの酵素には、決められた1つの酵素が働くからです。

また、酵素は人の体内でつくられる「体内酵素」と人の体外から取り入れる「体外酵素」の2つに分けられています。

さらに体内酵素は、はたらきが異なっているため、「消化酵素」と「代謝酵素」に分類されています。

他方で、体外酵素とは「食物酵素」とも呼ばれ、特定の食品に含まれています。

消化酵素

体内酵素の消化酵素は、消化の過程で作用し、消化や吸収を促すために食べ物を小さく分解してくれます。

そして、酵素はある決まった反応にしか機能しない性質を持っています。
たとえば、炭水化物(でんぷん)を分解するにはアミラーゼという酵素がはたらきますが、この酵素は炭水化物しか分解できず、たんぱく質や脂質の分解には作用しません。

たんぱく質を分解するにはプロテアーゼ、脂質を分解するにはリパーゼという酵素がはたらくため、体内には多くの酵素が存在しています。

代謝酵素

体内酵素の代謝酵素は、代謝に関わる酵素であり栄養素を体の各細胞に届ける役目を担っています。

主に細胞の新陳代謝や血液の巡りを促進、体内の毒素を解毒するなど、生命維持に深く関与しています。

食物酵素

体外酵素である食物酵素とは、食品に含まれる酵素のことで発酵食品や生の野菜、果物に多く含まれています。
食物酵素が含まれている食品を摂ることで体内の酵素を助けるはたらきがあります。

食物酵素は自己消化力があり、酵素の力で消化吸収しやすい状態にしてくれるのです。
たとえば、肉類の繊維などを分解し肉質を柔らかくしてくれるもの、米やパンなどの炭水化物を分解、消化するものなど、酵素にはさまざまな種類があるといわれています。

消化吸収をサポートしてくれる食物酵素を摂ることは、消化を促進する体内酵素の節約に繋がるため、健康の維持に役立つといえるでしょう。

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酵素の効能とは

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上記では、体内にある酵素と体外から取り入れる酵素について解説しました。
ここからは、酵素の効能についてご紹介します。

消化吸収をサポート

体内に酵素が十分備わっていれば消化や吸収、代謝が円滑に行われます。
しかし、年齢を追うごとに体内での酵素のはたらきは減少していくといわれています。

消化酵素や代謝酵素の作用が弱まってくると、食事量の低下や胃もたれ、痩せにくいなど体の不調や変化を感じることが多くなるのです。

食品から酵素を取り入れることで、体内にある酵素のはたらきを節約することに繋がるため、消化吸収を促す効能があるといわれています。

ダイエットのサポートや美肌効果に繋がる可能性も

酵素が含まれている食品を摂ることで、健康や美容に効果が出ることもあるかもしれません。

これは、酵素の直接的な効能によりダイエット効果や美肌効果がある訳ではありませんが、酵素を含む食品は食物繊維やビタミンを豊富に含んでいるものがあります。

食物繊維は小腸で消化・吸収されず大腸に届くため、便秘をはじめとする整腸効果が認められています。
さらに、血糖値の上昇抑制や悪玉コレステロール濃度の低下などの作用から肥満予防に有効と考えられています。

また、酵素を含む食品には、ビタミンCが豊富に含有されているものもあります。
ビタミンCには抗酸化作用があり、メラニンの生成を抑え、老化を防いでくれるといわれています。

それ以外にもビタミンCはコラーゲンの生成にも深く関わっています。

参考:厚生労働省e-ヘルスネット-食物繊維の必要性と健康 –

国立研究開発法人 科学技術振興機構-ビタミンCの抗酸化作用について-

それは酵素が不足しているサインかも?

それは酵素が不足しているサインかも?

「体の不調が続いている」

「昔と比べ、体が変わってきている気がする」

健康に対して悩みや不安がある方は、酵素不足が関係しているかもしれません。

消化酵素は、食べ物の消化吸収に密接に関わり、代謝酵素は新陳代謝や解毒などに関与しているため、不足すると下記のような不調が起こることがあります。

消化酵素が不足すると

  • 食べた物の消化吸収力が落ち、下痢や胃もたれを起こす
  • 脂肪の分解能力が落ちるため、血液がドロドロになり血液の巡りが悪くなる

代謝酵素が不足すると

  • 解毒作用がうまくはたらかず、体に老廃物が溜まりやすくなる
  • 新陳代謝が悪くなり、肌荒れや便秘、疲労などの不調が現れる
  • 怪我などの傷の回復が遅くなる
  • 太りやすくなった

体の中にある消化酵素や代謝酵素は重要な役割を果たしているため、不足するとさまざまな不調に悩まされることもあるでしょう。

ただし、これら不調すべてが酵素不足が原因とは言い切れませんが、対策をしているにもかかわらず改善しない場合は、酵素不足を疑ってもいいかもしれません。

酵素が減る・不足する原因は?

残念ながら、酵素は歳を重ねると減少していくとお伝えしましたが、酵素が不足する原因は加齢によるものばかりではありません。

下記のような生活を送っていると酵素不足になると考えられています。

  • アルコールの飲み過ぎ
  • タバコを吸っている
  • 暴飲暴食の習慣がある
  • 加工品が多い食生活
  • ストレスが多い

酵素は体の中で食べ物の消化や解毒、代謝に関わっているため、長年に渡り乱れた生活や食事をしていると酵素が大量に消費され、酵素不足になっている可能性があります。

酵素不足にならないよう規則正しい生活や食習慣に配慮しましょう。

酵素の特徴とは

酵素の特徴とは

酵素は「人の体内と同じ環境で活動的になる」という特徴をもっています。

多くの酵素は、人の体内ではたらくために、人の体温とほぼ同じ35〜40℃の温度で活発になります。
酵素はたんぱく質により構成されているため、高温になるとたんぱく質の構造が変わり、酵素の力は失われてしまうのです。

また、人の血液やリンパ液などの体液は弱アルカリ性(pH7.35〜7.45)ですが、酵素も中性付近のpH7ではたらきが活発になります。
しかし、胃の中にある消化酵素のペプシンはpH2の強酸性の環境でよくはたらくことがわかっています。

参考:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット-酵素とは-

酵素を多く含んだ食べ物とは

酵素を多く含んだ食べ物とは

酵素のことが分かってくると、酵素を多く含んだ食べ物は何なのか気になりますよね。
ここでは、体外酵素である食物酵素が豊富な食べ物をご紹介していきます。

発酵食品

発酵食品とは、乳酸菌や麹菌、酵母などの微生物のはたらきによって食材が変化したものです。
発酵食品が作られる際には酵素が密接に関係しています。

よって、食物酵素が含まれた発酵食品を摂ることは、体内酵素のはたらきをサポートしてくれるといわれています。

食物酵素を多く含む発酵食品

  • 味噌
  • 納豆
  • ぬか漬け
  • キムチ
  • 寝かせ玄米(酵素玄米)

野菜

生の野菜には多くの食物酵素が含まれています。
特に大根には炭水化物を分解するアミラーゼ、タンパク質を分解するプロテアーゼ、脂質を分解するリパーゼなど多くの食物酵素が含まれています。
食べ物の消化を助け、胃もたれや胸焼けなどを防いでくれます。

食物酵素を多く含む野菜

  • 大根
  • かぶ
  • 玉ねぎ
  • 山芋
  • ほうれん草
  • トマト
  • キムチ
  • キャベツ
  • ブロッコリースプラウト

果物

生の果物にも酵素が豊富に含まれています。
パイナップル、パパイヤ、キウイフルーツ、イチジク、メロンなどの果物にはたんぱく質を分解するプロテアーゼが含まれています。

肉料理の下処理時にこれら果物の絞り汁や、果実をすりおろして肉につけておくと、肉の繊維などが分解され、柔らかい肉質になるのです。

食物酵素を多く含む野菜

  • キウイフルーツ
  • バナナ
  • パイナップル
  • パパイヤ
  • りんご
  • いちご
  • イチジク

酵素を効果的に取り入れるために

酵素を効果的に取り入れるために

酵素の力を効果を高めるためには、いくつかの注意点があります。

酵素は加熱に注意して使用する

酵素は熱に弱い特徴があるため、生で食べるか低温調理で食べるのがおすすめです。
酵素はたんぱく質で構成されているため、加熱により酵素の機能が失われてしまうためです。

多くの酵素は、人や動物の体の中ではたらくため、35〜40℃の温度でもっとも活動的になり、50℃以上になると失活するといわれています。

また、市販の果物や野菜の缶詰やジュース類は、調理時に熱が加えられている場合多く、酵素の機能が失活していることが多いです。

酵素の効能を高めるためには、サラダにしたり、手作りのジュースにしたりするなど工夫してみましょう。

よく噛んで食べる

よく噛んで食べることは、さまざまな効果があるといわれていますが、消化が良くなることがわかっています。
人の唾液には、消化を助けるアミラーゼが含まれているため、よく咀嚼して食べると口内で消化が行われるため、体内酵素の負担軽減に繋がります。

あまり噛まないで食べていると、食べ物がかたまりのまま胃腸へ送られるため、消化吸収に時間がかかり体内酵素を無駄に消費してしまったり、消化不良を起こしたりする恐れもあるのです。

食べ物をよく噛んで食べることは体内酵素の負担を軽減し、胃腸に優しい行動といえるでしょう。

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酵素の摂り方に注意し、健康や美容、ダイエットに活用しよう!

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今回は、酵素の効能や酵素を取り入れる場合の注意点、酵素が不足する原因について解説しました。

酵素は、健康にとって多くの効能があるため、効果を活かす工夫をする必要があります。

熱に弱いといった性質があるため、酵素の力を高めるためには生のまま食べるか、低温で調理しましょう。

また、酵素不足になる原因は不規則な生活や食事も関係しているため、日頃の生活や食習慣を見直してみましょう。

今回の記事を参考に、ぜひ今日から酵素を活かす生活や食事を実践してみてください。

#健康 #美容 #酵素 

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執筆者
加藤文香(かとうあやか)

大学卒業後は管理栄養士として大手委託会社、総合病院、臨床開発関連企業、ヘルスケアサポート企業等に勤務し、給食業務から栄養管理業務まで幅広く経験。現在は食事や栄養などのコラム執筆を中心に活動。 食生活全般を見直し、発酵食品や自然食品に変えたことで、長年治療してきたアトピー性皮膚炎の湿疹が消え、肌がきれいになる。それ以外にも産後ダイエットを5ヶ月で成功させた体験から「食事で体は変わる」ことを発信している。

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監修

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圓尾和紀(まるお・かずき)

管理栄養士。静岡県立大学で修士号を取得後、管理栄養士として総合病院に勤務。現在は独立し、日本の伝統食とファスティングの良さを伝える活動に携わる。メディア出演多数、著書 『一日の終わりに地味だけど「ほっとする」食べ方』(2017年)。

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