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発酵食品の種類って?微生物から世界の食品まで知りたいことを完全網羅

執筆者 いしもとめぐみ | 更新日:2023.12.4
発酵食品の種類

皆さんは発酵食品に、何となく健康そうなイメージを持たれている方が多いと思います。この記事では、発酵食品の概要や発酵食品の種類、微生物から世界の発酵食品について解説します。

発酵食品の概要

発酵食品の概要

発酵食品とは、乳酸菌や酵母菌などの微生物の作用によって発酵させたものです。
人間にとって有害に働くものが「腐敗」、有益なものが「発酵」に分けられます。
発酵食品は、人間にとって有益なものであり、食材の美味しさや、栄養価が高くなり、長期保存が可能です。

世界で初めて発酵食品が作られたのは、紀元前5000年頃になります。
当時偶然、牛乳からヨーグルトができたことが発酵食品の始まりです。
日本では、奈良時代に瓜を塩漬けしたことが発酵食品の始まりと言われています。
その後、野菜を味噌や塩、酢などにつけて発酵させ、発酵食品が受け継がれていきました。

発酵食品の効果

発酵食品の効果

発酵食品の効果は、食品に含まれる微生物の種類や菌種によって、効果はさまざまです。ここでは発酵食品がもつ代表的な効果を紹介します。

免疫調節効果・アレルギー抑制効果

免疫力向上効果やアレルギー抑制効果がある乳酸菌や麹菌が含まれている発酵食品は、味噌や醤油です。乳酸菌や麹菌が含まれる発酵食品には、アレルギーを抑える効果に期待ができ、アレルギー性鼻炎が改善された一例があります。

コレステロール値上昇抑制効果・脂肪分解促進効果

コレステロール値上昇を抑える効果がある発酵食品は、食酢です。食酢には、酢酸菌が含まれています。酢酸菌は、コレステロール値や中性脂肪値の上昇を抑えたり、内臓脂肪の低下を抑えられると言われています。内臓脂肪やコレステロール血が気になる方におすすめです。

腸内環境改善効果

納豆菌や乳酸菌は、腸内環境を改善する効果があります。腸内の悪玉菌の増殖を防ぎ、善玉菌を増やしていきます。便秘の方におすすめです。

肌荒れ改善効果

ヨーグルトに含まれる乳酸菌は、肌荒れ改善効果があると言われています。乳酸菌がもつ腸内環境を改善させる働きが、肌荒れ改善につながるのです。

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発酵食品内の微生物の種類

発酵食品内の微生物の種類

発酵食品をつくる微生物には、大きく3種類に分けられます。それぞれの種類について解説していきます。

細菌

細菌の中にも、3種類に分かれます。

乳酸菌

乳酸菌が多く含まれている発酵食品は、ヨーグルト、チーズ、漬物、醤油、味噌です。乳酸菌は、食品の糖類を分解して乳酸菌が作られます。糖の種類や乳酸菌の種類により、出来上がりの発酵食品が変わっていきます。

牛乳に加える乳酸菌にも種類があります。例えば、ビフィズス菌、ガセリ菌、シロタ菌などの乳酸菌があります。さまざまな種類の乳酸菌を牛乳に加えることにより、多様なヨーグルトが作られます。ヤクルト菌やカルピス菌を牛乳に加えると、ヤクルト、カルピスの乳酸菌飲料が誕生します。

ヨーグルトやチーズ以外では、キムチやぬか漬けも乳酸菌が関係しているのです。野菜や米に含まれている乳酸菌が分解して発酵食品が作られます。

乳酸菌は、腸内環境に関与しており、善玉菌を整え、悪玉菌の増殖を抑えます。便秘改善、免疫力の増加、中性脂肪値やコレステロール値の抑制につながるのです。乳酸菌は、保存にも適しています。

納豆菌

納豆菌は、納豆をつくる菌で、納豆を作るのに必要な微生物菌です。加熱した大豆に納豆菌を加えると、たんぱく質が分解されアミノ酸が作られます。加える納豆菌の種類によって、味や匂い、粘性など出来上がりの納豆が変わっていきます。

納豆菌は、生きたまま腸に届き、腸内の善玉菌を増やす働きを持っているのです。腸内環境を整え、便通改善に期待できます。たんぱく質を分解する過程でナットウキナーゼという酵素を作ります。ナットウキナーゼは、血栓を防止する効果や血液をサラサラにする効果をもたらすのです。また、ビタミンK2が多く含まれているので、骨を丈夫にする効果もあると言われています。

酢酸菌

酢酸菌は、お酢を作るのに必要な発酵食品です。アルコールに酢酸菌を加え、お酢が作られます。酢酸菌は、酢酸によってpHが酸性に傾き、他の菌に近づけないようになる殺菌・防腐効果があります。この作用によって作られた料理が、ピクルスやお寿司です。

どんな食品からアルコールを作り、酢酸を発酵させるかにより、お酢の種類が変わっていきます。お米からできたお酒に酢酸菌を発酵させると、純米酢ができます。その他、大麦から作られたお酒に酢酸菌を発酵させると麦芽酢に、玄米からは黒酢、ぶどう果汁からはワインビネガー、りんごからはりんご酢、ココナッツミルクからはナタデココが生成されるのです。酢酸菌にもそれぞれ種類があるため、出来上がる発酵食品も変わります。

酢酸菌は、腸内にある免疫細胞を刺激させ、花粉症やアレルギー症状を抑える効果があると言われています。

酵母

酵母とは、糖を分解してアルコールと二酸化炭素を生み出す微生物です。酵母による発酵はアルコール発酵になり、お酒の醸造に酵母が使われています。

酵母にもさまざまな種類や用途があります。大麦を発芽させ作った麦芽から取れた麦汁、ビール酵母を加えてアルコール発酵させるとビールが、ブドウ果汁にワイン酵母を加えてアルコール発酵させると、ワインができます。このようにどんな酵母を使用するかにより出来上がる発酵食品が変わってくるのです。

パン作りに必要な酵母は、大きく「イースト」と「天然酵母」の2種類に分かれます。イーストは、パン専用の酵母であり、1種類の酵母を培養します。天然酵母は、果物や穀物などの自然界にある酵母を育て、乳酸菌や他の菌も混ぜて作られているのです。

その他、味噌、醤油、漬物、日本酒、紅茶、鰹節、納豆などの多くの発酵食品は、発酵過程で酵母が関与しています。

酵母の働きは、体内に糖が吸収されるのを抑えることです。酵母には多くの食物繊維が含まれているので、消化を活性化させます。腸内の免疫にも作用するため、免疫力向上にもつながります。

カビ

カビの種類は、麹菌や紅麹菌、青カビ、白カビなどです。カビはほとんど有毒なものですが、発酵に使われるカビは有毒ではありません。発酵の過程で糖分やアミノ酸を生成し、独特の甘味や旨味を引き出します。みりんや焼酎は酵母やカビからできて、カマンベールは白カビから、ブルーチーズは青カビからできています。このようにさまざまなカビの種類や、細菌と酵母の微生物がかけ合わさり、発酵食品を生成しているのです。

発酵食品の種類の一覧

発酵食品の種類の一覧

微生物の種類や発酵の過程によって、さまざまな発酵食品ができることがわかりました。ここでは私たちの生活にある、身近な発酵食品の種類の一覧を紹介します。

豆類の発酵食品

豆類の発酵食品は、味噌、醤油、納豆、豆乳ヨーグルト、豆板醤などです。中国や台湾では、豆鼓、臭豆腐、腐乳があります。代表的な、味噌、醤油、納豆、豆板醤について説明します。

味噌

日本の味噌の原料は、大豆、麹、塩です。酵母や乳酸菌が含まれています。豆麹からは豆味噌ができ、米麹からは米味噌ができ、麦麹からは麦味噌ができるなど種類があります。

醤油

醤油の原料は、大豆、食塩、小麦、麹です。大豆のたんぱく質を、麹菌の酵素で分解して作られます。酵母や醤油乳酸菌の働きによって熟成が進んでいきます。原料や製法の違いにより、濃口醤油、薄口醤油、溜醤油など醤油の種類が豊富です。

納豆

納豆の原料は、大豆と稲わらに包まれている納豆菌です。大豆と納豆菌により、納豆得得の粘り気が生成されます。納豆菌以外にも作られる納豆があり、麹菌と乳酸菌からは塩辛納豆が作られます。

豆板醤

豆板醤の原料は、空豆、唐辛子、塩、麹であり、中国版の味噌です。唐辛子が使われているため、日本の味噌より辛味が強くなります。

魚介類の発酵食品

魚介類の発酵食品は、鰹節、塩辛、くさや、なれずしなどです。前述した3つの発酵食品を説明します。

鰹節

鰹節は、生カツオを煮て燻製させ乾燥させ、カビ付けして作られます。発酵を繰り返すと、水分量が減り、保存が効き、旨味や香りを引き出す鰹節の誕生です。

引用元:発酵食品・かつお節の「ソフトけずり」で朝食のたんぱく質不足を解消!簡単レシピ4選 – haccola 発酵ライフを楽しむ「ハッコラ」

塩辛

塩辛は、魚介類の筋肉や内臓に塩を加え、自己消化酵素の働きによって熟成させた発酵食品です。発酵の過程で魚独特の生臭さはなくなり、旨味と香りが生成されます。自己消化酵素の働きにより旨みが作られ、乳酸菌により香りが作られます。高濃度な塩分を加え塩漬けすることで、食中毒菌の繁殖が抑えられ、長期保存が可能になりました。

引用元:塩辛(しおから)|ごはんにお酒に相性抜群! 魚介系発酵食品|発酵日和 普段の生活で発酵を楽しむ。コツやレシピ満載の発酵Webメディア。

くさや

くさやは強烈な臭いを放つ発酵食品です。魚を「くさや液」という発酵液に浸し、天日干しして作られます。

肉類の発酵食品

肉類の発酵食品は、生ハム、ドライソーセージ、サラミなどです。3つの発酵食品を説明します。

生ハム

生ハムは、豚肉を塩漬けと乾燥させ、乳酸菌によって乳酸発酵し、熟成させた発酵食品です。長期保存が可能となり、乾燥と発酵の工程により、生ハムの風味を引き出しています。

ドライソーセージ

ドライソーセージは、豚肉、塩、アルコールを混ぜ、乳酸菌発酵をした発酵食品です。製造過程で加熱することがないため、菌がついている状態になっています。塩を混ぜ、乾燥させることで雑菌が繁殖しづらい環境ですが、乳酸菌発酵の力により、さらに腐敗菌や汚染菌の繁殖を抑えています。長期保存が可能です。

引用元:お肉の発酵食品って知ってる? | 発酵大麦エキス情報サイト

乳製品の発酵食品

乳製品の発酵食品

乳製品の発酵食品は、チーズ、ヨーグルト、サワークリームなどです。3つの発酵食品を説明します。

チーズ

チーズは、牛乳や羊乳などの生乳を原料とした発酵食品です。乳酸菌やカビなどで熟成させます。チーズの種類は1000種類以上あり、中でも生乳に乳酸菌を加えて固めたナチュラルチーズがあります。ナチュラルチーズに乳化剤を加え、加熱と再形成させたプロセスチーズは、日本で多く流通しているのです。

ヨーグルト

ヨーグルトは、牛乳にビフィズス菌やブルガリア株などの乳酸菌を加え、発酵させた食品です。乳酸菌の種類によって、さまざまな種類のヨーグルトが誕生しています。ヨーグルトは世界中で普及しています。

サワークリーム

サワークリームは、生クリームを乳酸菌に発酵させた食品です。酸味が特徴的なクリームです。料理やお菓子作りにサワークリームを加えると、コクが加わり、使い勝手がよくなります。発酵食品なので、生クリームより保存が効きます。

引用元:
サワークリームってどんなもの?生クリームと何が違うの?ぎゅうぎゅうミルクがわかりやすく解説! – フードマニア Food Mania by 旭屋出版
【サワークリーム】発酵食品リスト – haccola 発酵ライフを楽しむ「ハッコラ」

野菜・果物類の発酵食品

野菜・果物類の発酵食品は、ぬか漬け・キムチ・ナタデココなどです。3つの発酵食品を説明します。ビタミンや食物繊維が豊富に含まれ、整腸作用と免疫作用に良いと言われています。

ぬか漬け

ぬか漬けは胡瓜や人参、なすなどの野菜に米糠や塩を混ぜ、乳酸菌発酵させた発酵食品です。乳酸菌発酵させることで、風味が深まっていきます。保存性を高めるために食塩を多く使います。食べ過ぎると高血圧の原因にもなるため、注意が必要です。

引用元:ぬか漬けブーム到来!注目のぬか漬けの栄養や効果とは?|dヘルスケア

キムチ

キムチは、韓国の辛い漬物です。塩で漬け込んだ白菜に、唐辛子やニンニクなどを加え、乳酸菌発酵させます。発酵期間によって、さまざまな味わいに変化します。

ナタデココ

ナタデココは、ココナッツ水に酢酸菌の一種であるナタ菌を加えた発酵食品です。食感は寒天によく似ており、ヨーグルトやアロエに混ぜた商品が市場で多く出回っています。

穀類の発酵食品

穀類の発酵食品は、日本酒、ビール、甘酒などです。3つの発酵食品を解説します。

日本酒

日本酒は、蒸米に麹や清酒酵母を加えて発酵させた発酵食品です。健康や美容に良い成分が入っていると言われています。

ビール

ビールは、大麦から作られる発酵食品です。大麦をブドウ糖へ糖化させ、酵母を加えて発酵させます。

甘酒

甘酒は炊いたご飯に米麹を加えて発酵させる麹甘酒と、絞った日本酒の粕に砂糖と水を加え発酵させる酒粕甘酒の2種類あります。どちらもお米を原料としている発酵食品です。
麹菌や麹菌の酵素の働きにより、私たちの必要な栄養素がたくさん含まれています。甘酒は、病院で使われる点滴の成分に似ていて、「飲む点滴」と呼ばれているのです。

まとめ

発酵食品の並んだ食卓

発酵食品は昔から作られており、現代まで受け継がれています。免疫力向上、腸内環境改善、コレステロール値低下などの効果も作用しています。発酵食品の微生物には、細菌、酵母、カビの種類に分かれ、さまざまな種類の微生物から発酵食品は作られているのです。

これらの発酵食品は世界各地で作られ、地域独特の食文化を形成しています。その豊富なバリエーションと独特の風味、栄養面での利点から、健康や美容に興味のある人々に注目されています。

参考

発酵食品の一覧を紹介!効果や食べ方のポイントとともに確認しよう|生涯学習のユーキャン

発酵食品にはどんな種類があるの?主な発酵食品一覧

発酵食品ってすごい!?体に良い理由や身近な発酵食品の種類一覧、レシピを紹介

発酵のきほん|みんなの発酵BLEND

発酵食品一覧|効果を高める食べ合わせや上手な取り入れ方をご紹介 -Food for Well-being -かわしま屋のWebメディア-

発酵の基礎知識 | 発酵食をプラス1 | アサヒグループ食品

発酵食品の6つの効果とは? 納豆や味噌で免疫力アップ&疲労回復に!|楽しむ・学ぶ|養命酒製造株式会社

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執筆者
いしもとめぐみ

管理栄養士。国立大学文学部を卒業後、一般企業勤務を経て栄養士専門学校に入学し、栄養士資格を取得。病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験して2022年に独立。食が楽しくなるレシピを発信するほか、栄養・健康分野の記事執筆を中心に活動中。日本ワインが大好きで、お家ごはんと日本ワインのペアリングについて日々研究を重ねている。

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監修

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圓尾和紀(まるお・かずき)

管理栄養士。静岡県立大学で修士号を取得後、管理栄養士として総合病院に勤務。現在は独立し、日本の伝統食とファスティングの良さを伝える活動に携わる。メディア出演多数、著書 『一日の終わりに地味だけど「ほっとする」食べ方』(2017年)。

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