発酵食品と酵素の力で、いつまでもキレイで健康にくらす!
専門家インタビュー

専門家インタビュー

竹内進一郎さん (ホリスティック・カレッジ・オブ・ジャパン校長)

ダイエット、アンチエイジングを含め、健康のカギは「酵素」
最新の「ホリスティック栄養学」を知って、心もからだも健康に

プロフィール

竹内進一郎(たけうち・しんいちろう)

ホリスティックカレッジ・オブ・ジャパン校長

1960年、東京都生まれ。米国ペパーダイン大学にて、国際ビジネス学専攻。帰国後、貿易業務に長年携わるが、海外渡航が多く、ストレスと激務で体調を崩し、瞑想法、自律訓練法の教義と栄養療法により回復する。これを機に、心とからだの相関性に興味を抱き、ホリスティック栄養学の知識を深めるため米国AIHT(American Institute of Holistic Theology)へ再入学、同校で修士、博士号取得。2003年から、米国トランスフォーメーション酵素栄養療法クリニック日本支部の代表を務める。2010年、米国Nutrition Therapy Instituteの日本提携校「ホリスティックカレッジ・オブ・ニュートリション(2013年より「ホリスティックカレッジ・オブ・ジャパン」に改称)」を設立。同校の校長に就任し、現在に至る。著書に『いま、栄養学が変わる 健康に、自分らしさを活かす「ホリスティック栄養学」』(現代書林)、監訳書に『スーパー酵素医療』(グスコー出版)、『病気を癒し、老化を防ぐ酵素の治癒力』(現代書林)、『生命活力と健康のための生物学的ポジショニングシステム(B.P.S) 酵素・栄養生化学:世界中から受けた代表的な70の質問に答える』などがある。また、自ら制作総指揮をとった映画『THE CHOICE 生きるための選択』の上映会を全国各地で開催、好評を博した。
ホリスティックカレッジ・オブ・ジャパン http://www.holisticcollege.jp/

心と身体をつなぐ最新の栄養学である「ホリスティック栄養学」。その普及教育活動をおこなっているホリスティック・カレッジ・オブ・ジャパン校長の竹内進一郎さんに、女性の美容と健康に欠かせない酵素、そしてホリスティック栄養学について、詳しくお話をお聞きしました。

1 健康と美容のカギを握る「酵素の働き」

最近、酵素ジュースやスムージーがテレビや雑誌でよく取り上げられるようになり、「酵素」が注目されるようになってきました。アメリカでは酵素の重要性に着目したホリスティック栄養学が15年くらい前に登場し、日本でも少しずつ認知度が高まっており、「健康には酵素の働きが大切」ということは、なんとなく知っている人も多いと思います。

酵素は、食物から摂取、あるいは体内でつくられるたんぱく質の一種です。そして、酵素には「体外酵素」と「体内酵素」があります。

体外酵素の一例は、食べ物に含まれている「食物酵素」、つまり「食べ物が自らを消化するための酵素」のことです。具体的には、生の野菜や果物、魚などに含まれています。

体内酵素には、「消化酵素」と「代謝酵素」があります。消化酵素とは、消化に必要な酵素で、食べたものを消化する過程でいろいろな種類の酵素が働き、栄養素を小さく分解していきます。そして、栄養素がエネルギーになったら、それをからだの中で働かせるために不可欠なのが代謝酵素です。細胞の新陳代謝をはじめ、老廃物の排出、免疫機能などなど、人間の生命活動のあらゆるシーンでさまざまな種類の代謝酵素が働いています。ということは当然ながら、女性の美容と健康にとっても、酵素がひじょうに重要な働きをしているということがおわかりになると思います。

ところが、加齢とともに、体内酵素をつくる機能は衰えていきますから、いかにして体内の酵素をキープするかが、アンチエイジングのカギでもあります。30代後半から50代の女性の場合、体調不良の原因が、更年期障害に由来する可能性とともに、実は、酵素不足による消化不良が原因になっているということもよくあるのです。

2 消化には大きなエネルギーが必要

自然の環境で生きる動物たちは、肥満になるほど食べ過ぎることはありませんが、現代社会に生きる私たち人間のまわりには食料が豊富にあり、ついつい食べ過ぎてしまいがちです。食べ過ぎによる弊害は、太ることだけではありません。

消化という活動は、実は、からだに大きな負担をかけています。「人間のからだのエネルギーの80%は、消化の過程で消費される」という事実を知ったら、驚く人も多いのではないでしょうか。この数字を知れば、食べ過ぎることが、どんなにからだに負担をかけているかが、おわかりになると思います。

最近はみなさん、健康への関心が高く、なるべくからだにいい食品を選んで食べるように意識していると思います。もちろん、それはいいことなのですが、いくら栄養のある食べ物を摂取しても、それがきちんと消化されなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。先述したように、食物を栄養素として吸収し、エネルギーに変えるために必要なのが酵素なのですが、酵素の働きがよくないと、消化も代謝もうまくおこなわれません。

ですから、「からだにいいものを食べる」のと同じくらい、「食べたものがちゃんと消化吸収される」ことが大切で、そのためには消化酵素を積極的に外から摂取したり、体内の酵素が浪費されないように気をつけることが必要になってきます。

体内酵素の量は、個々にさまざまな影響を受けて、その要因で変わってきますし、正しく活性していることが大事です。人間のからだでは60兆個の細胞が休みなく働いていて、その触媒作用に酵素は欠かせませんから、健康でいたいと思うのならば、酵素が欠乏しないようにつねに気をつけないといけません。

ところが、病気はもちろん、精神的なショックやストレス、大気汚染、食生活の乱れなどによってからだに負担がかかると、酵素が適切に働かなくなります。現代人の食生活には、添加物のたくさん入った加工品が多く、それらにはほとんど酵素は含まれていませんから、なおさら酵素が不足しがちです。

酵素を大量に消費することが続けば、いずれ酵素が欠乏した状態、いわば「酵素破産」とも呼べる状態に至ります。ですから、日々の生活で心がけることは、食物の消化に負担をかけないように、消化のよい食品をとり、なおかつ酵素を大量に消費するようなことをなるべく避ける、ということですね。

代謝酵素の生成は、私たちのからだがもともともっている機能で、外から補うことができません。ですから、代謝酵素をなるべくキープするために、消化酵素を補うという意味でも外から、つまり発酵食品や酵素サプリメントで取り入れましょうというのが、ホリスティック栄養学における酵素療法の基本的な考え方です。加齢ともに、代謝機能が衰えてくるのはやむをえないので、せめて消化の面だけでも、外から酵素の応援部隊を送ろう、という考え方です。

野菜や果物のスムージーをとったり、発酵食品をたくさん食べるようにしたら、体調がよくなったと実感する人が多いのですが、その原因としては、もちろんビタミンや食物繊維による効果もありますが、消化の負担が減ったことも大きいと思います。消化酵素を補うことで、体内の酵素を代謝のために使えるので、体調不良の改善に効果的なのです。

3 ホリスティック栄養学とは何か

さて、ここからは、私がアメリカで学んだ最新の栄養学「ホリスティック栄養学」の考え方にもとづいて、健康について説明していきたいと思います。ホリスティック栄養学は、まだまだ日本では新しく、アメリカでもここ15年くらいで広がってきた栄養学です。

「ホリスティック」の語源は、ギリシャ語の「Holos(ホロス)」で、「全体」を意味します。英語の「Whole」も同じ語源ですが、おもしろいことに、「Health(健康)」と「Holy(神聖な)」も、やはりギリシャ語の「Holos」から派生した言葉です。つまり、心とからだはつながっていて、全体の営みとして、人間まるごとを考える栄養学が、ホリスティック栄養学なのです。

従来の栄養学では、三大栄養素(たんぱく質、脂質、炭水化物)やビタミン、ミネラルといった食品の栄養価やカロリーに注目するのに対して、ホリスティック栄養学では「栄養が適正に消化、吸収されているか」というところまでを視野に入れます。

健康のためには、「栄養をとる」だけではダメで、同じように「消化する」と「排出する」も大切です。栄養学というと、たんぱく質だ、ビタミンだと、栄養素の話になってしまいがちですが、もっと全体的な営みとして考える必要があります。足りないものを補う前に、「いま食べているものがちゃんと消化されているか」を考えてみることがとても重要なのです。同じものを食べても、人それぞれ体質や気質が違いますから、消化吸収できる量にも違いがあります。

ホリスティック栄養学には3つの柱があります。第1の柱は、基礎栄養学で、従来の栄養学に近いものです。

第2の柱は、ボディタイプ(体質)による体のメカニズムです。人にはそれぞれの体質の違いや、食べ物の好みがあり、欠乏しやすい酵素であったり、かかりやすい病気の傾向があります。

第3の柱は、「心身相関のメカニズム」です。心とからだはつながっているので、同じものを食べても、そのときの精神状態によって、栄養の消化吸収は違ってきます。ホリスティック栄養学では、こうした心の動きにも目を向けています。

4 ボディタイプに合ったダイエットをしよう

ホリスティック栄養学では、体型や脂肪のつき方、食べ物の好みから診断して、4つのボディタイプに分類します。

ダイエットには、自分のボディタイプに合った食べ物をとることが効果的です。ダイエットといっても、ホリスティック栄養学では、ただ「やせる」ことを目的にしているのではありません。体質に合った食事をとっていると、消化吸収がうまくいくようになるので、その結果、体調がよくなります。健康になることで、太っている人はやせますし、やせている人は健康的な体重になります。

「これを食べると、必ずやせます」とか、「これを食べると、必ず健康になります」といった特効薬のようなものはありません。その人の体質に合った食事療法を続けることで、体調不良が改善されて、健康になっていくのです。

以下に、各ボディタイプの特徴を挙げましたので、自己診断してみてください。

1 パラ・タイプ
ご飯、パン、パスタ、うどん、そば、クッキー、甘いもの、コーヒー、チョコレートなどを好む。
体型的には、体重の増加がからだ全体に同じように現れ、腰まわりがふくよかなタイプ。
日本人は、このタイプが多い。

2 エストロ・タイプ
スパイスのきいたエスニック料理や、脂っこい揚げ物など、味の濃い食べ物を好む。
体型的には、贅肉のほとんどが腰や太ももにつき、肩幅より腰の幅の方が広いタイプ。

3 スプラ・タイプ
牛肉(とくにステーキ)、豚肉、鶏肉、魚、ベーコン、ハム、卵などのたんぱく質を好む。
体型的には、上半身(胃部、肩、背中、胸)が太りやすく、お尻にまるみがない。

4 ニューロ・タイプ
グラタン、ヨーグルトなどの乳製品、とろっとしたクリーミーなものを好む。
体型的には、中学生、高校生の頃から同じ体型を維持している。
細身で子どもっぽい体型か、赤ちゃんのようにふんわりとしている体型の人が多い。
※4つのタイプはあくまで基本です。複数のタイプの性質をあわせもつ場合もよくあります。

酵素が、消化、代謝など、体内の化学反応に必要な物質であることは先に述べた通りですが、人それぞれ、食の好みや体質によって、不足しがちな酵素は違ってきます。

4つのボディタイプごとに、不足しがちな酵素は以下のようになります。
●ボディタイプによる不足しがちな酵素
1 パラ・タイプ     アミラーゼ(炭水化物や脂肪を分解する)
2 エストロ・タイプ  リパーゼ(脂肪を分解する)
3 スプラ・タイプ プロテアーゼ(たんぱく質を分解する)
4 ニューロ・タイプ アミラーゼ、リパーゼ、ラクターゼ(乳糖を分解する)

不足しがちな酵素とは、それぞれのタイプが好んで食べるものを消化するのに必要な酵素であることにお気づきでしょうか。長年にわたる食習慣で特定の酵素が大量に使われることにより、その酵素が不足しがちになります。その結果、スムーズな消化吸収ができなくなることが、体調不良の原因になっていることがよくあります。ですから、自分のボディタイプに合わせて、不足しがちな酵素を意識的に補うことによって、体調不良の改善やアンチエイジングなどの効果が期待できるのです。

5 心とからだはつながっている

ホリスティック栄養学の第3の柱である「心身相関のメカニズム」は、私がもっとも力を入れている分野です。人間の心理とからだの営みには深い関係があります。

誰でも好きな食べ物があると思いますが、好きな食べ物というとき、味が好きというだけではなくて、その食べ物にまつわる幸せな記憶が関係していることがよくあります。子どもの頃に食べておいしいと強烈に印象に残っている食べ物は、大人になってからも、ことあるごとに食べたくなって、それを食べると気分を引き上げてくれる効果があったりします。たとえば私の場合は、学生時代、部活の後に食べた味噌ラーメンがすごくおいしかった記憶があり、疲れたときには味噌ラーメンが食べたくなります。

落ち込んでいるときや、気分を高揚させたいときに食べたくなる食べ物というのは、ポテトチップスだったり、チョコレートだったり、人それぞれ、いろいろあるでしょう。好きな食べ物が、からだにいい食べ物かというと、そうじゃないこともありますが、生理学的よりも、心理的に効果があるなら、それも無視できません。「これをやめたら人生の楽しみがなくなる」というような食べ物があって、それを我慢することが大きなストレスになるのなら、たまにはご褒美として食べることも必要だと、ホリスティック栄養学では考えます。

6 ストレスと更年期障害の関係

更年期障害についても、単にからだの機能面だけではなくて、精神的な影響が大きいと考えられます。更年期障害は、女性ホルモンの分泌量の低下が原因で起こります。40代になると、女性ホルモンの分泌量は急激に減り、思春期や20代の頃と比べると、半分か、それ以下になってきます。

女性ホルモンは、おもに卵巣から分泌されますが、副腎からも分泌されます。副腎は、心の働きと密接な関係があり、ストレスがかかると副腎からアドレナリンが分泌され、心拍数や血圧、血糖値を上げる働きをします。ところが、アドレナリンの分泌で副腎が酷使されるとDHEA(デヒドロエピアンドロステロン)を分泌できなくなってしまうのです。DHEAは、男性ではテストステロン(男性ホルモン)、女性ではエストロゲン(女性ホルモン)の元になります。卵巣から分泌される女性ホルモンの量と比べると、副腎から分泌される量は微量なのですが、とはいえ、ただでさえ減少してきた40代の女性にとっては、大切なもの。エストロゲンは、女性の肌や髪の健康にも役立つほか、骨粗しょう症を防いだり、悪玉コレステロールの増加を抑え、善玉コレステロールを増やして動脈硬化を抑える働きなどもあり、女性の美と健康には欠かせないものです。

若い頃からストレスの多い生活を送っていると、副腎が疲労して機能が低下してしまい、更年期の症状が早く出たり、重くなったりするのです。また、DHEAはコレストロールからつくられるので、ダイエットのために、極端に脂質を制限するとコレストロールが不足して女性ホルモンがつくられなくなることもあります。

7 女性の健康とホリスティック栄養学

私たちのまわりには、多忙のため外食が多くて睡眠時間も十分ではないにもかかわらず、元気で生き生きしている人がいます。一方で、食事制限と運動をして規則正しい生活を送っているのに、病気になってしまう人もいます。

ホリスティック栄養学が説得力を持つのは、こうしたつじつまの合わない結果を見たときかもしれません。つまり、いくらストイックに食事制限やアンチエイジングに取り組んでも、ボディタイプに合っていなければ効果が出にくいのです。

更年期の方はもちろん、あらゆる年齢層の女性へのアドバイスとしては、大きく次の3つがあります。

1 自分のボディタイプを見つけて、体質に合った食事を心がける。
2 生の野菜や果物、魚など、消化酵素を多く含む食品やサプリメントをとる。
3 からだを温める。

体内の老廃物や毒素を排出するために、からだを温めて代謝をよくすることは、あらゆる年齢層の、あらゆるボディタイプの方におすすめします。お風呂の湯船につかったり、温泉やサウナに行ったり、足湯でもいいので、からだを温めて代謝をよくしてください。

そして、毒素や老廃物の排出をスムーズにするために、水をたくさん飲むこと。脂肪の燃焼には多くの水分を必要としますから、とくにダイエット中は十分な水分を補給してください。

8 酵素、ホリスティック栄養学との出会い

私がホリスティック栄養学に出会ったのは、自分自身の健康問題で悩んでいたことがきっかけでした。アメリカのペパーダイン大学で国際ビジネス学を専攻し、帰国後は父親が経営する貿易会社で働いていたんですが、数日間で世界一周するようなハードな毎日のせいか、体調不良になってしまいました。当時、20代半ばでしたが、検査の結果、若年性高血圧症という診断を受け、病院からもらった血圧を下げる薬(降圧剤)を飲んでも、ちっとも効きませんでした。そこで、食事療法に加え、九州大学の池見酉次郎先生の自律神経訓練法を知り、実践してみたところ、体調はよくなっていきました。病気の治療には、精神面でのケアが重要なことを、身をもって感じました。その後、酵素と出会いがあり、酵素ドリンクをずっと飲んでいて、その効果を実感していました。ですから、父の会社が倒産した後、酵素の紹介を第二の人生の仕事にしようと考えたのです。

当時、「なぜ酵素がからだにいいのか」という生化学的なメカニズムがわかる人が、日本にはいませんでした。そんなとき、アメリカの友人がエドワード・ハウエル博士の『酵素栄養学』という本を届けてくれました。酵素栄養学は、ホリスティック栄養学の入り口に当たります。これをきっかけに、ホリスティック栄養学に興味をもつようになり、再度アメリカに渡り、AIHT(American Institute of Holistic Theology)へ再入学して、10年かけて博士課程を修了しました。

心とからだの全体を考える最新の栄養学であるホリスティック栄養学を、もっと世の中に広めることをライフワークとしようと決心して、2010年に、日本で唯一のNTI(米国にあるNutrition Therapy Institute)の提携校である「ホリスティックカレッジ・オブ・ジャパン」を設立しました。生徒には、医師や看護師、栄養士といったプロも多く、卒業後は、それぞれの職場でホリスティック栄養学の普及につとめてくれています。

私たちは病気になってはじめて病院に行って、医師の診断と治療を受けるわけですが、それは、すでに発症した病気に対する対症療法です。それに対して、栄養療法は、予防のため、健康状態を保つためにおこなっていくものです。多くの人々が、ホリスティック栄養学の知識を身につけて、よりよい健康状態を、自らの選択でつくり出してほしいと思います。

(c) AiTRIGGER Inc.