西洋料理でもワインなど、お酒を料理に使うことがありますが、日本食のみりんは通常お酒として飲むことは少なく、もっぱら調味料として用いられています。和食のレシピにたびたび登場するこの調味料ですが、甘味をつけるという点では砂糖という選択肢もありますよね。みりんを使う利点とは何なのでしょうか。
今回の記事ではみりんの料理に与える効果と、みりんを使ったレシピをご紹介したいと思います。
みりんの働き
みりんにはさまざまな効果があります。よく言われているのが料理に照りを与えて美味しく見えるようにする作用です。煮物などの具材の煮崩れを防いだり、食材の味が入りやすくするなどの効果も持っており、料理をより美しく美味しく仕上げる働きがあります。
また、砂糖と同様に甘味を加えるという面もありますが、砂糖の直接的な甘味に比べてみりんの甘味はもっとまろやかさを持っており、味の幅が広いため、料理の味が決まりやすいと言われています。
発酵によってアミノ酸も作られるため、料理にうま味を加えてくれます。和食の料理人によっては、砂糖を使わずに甘味はみりんでつけるという考えを持っている人もいるそうです。
選ぶなら「本みりん」を
スーパーのみりんの売り場に行くと、「本みりん」に並んで安価な「みりん風調味料」というものも目にします。しかし、このみりん風調味料はあくまで”風”の調味料のため、アルコール分はほとんど含まれず、みりん本来の効果や風味は期待できません。
一方、本みりんは発酵熟成させることによって微生物がうま味を作っており、比べてみるとその風味の差は歴然としています。選ぶ際はぜひ、みりん本来の利点が得られるこの本みりんを選ぶようにしましょう。
一押しの本格本みりん
私がよく使っているみりんがこちらの「三州三河みりん」です。愛知県の三河地方で作られているみりんで、原材料はもち米、米麹、焼酎のみと余計なものは一切使われていません。伝統的製法を守って作られており、通常のみりんより色が濃い目なのは、なんと二年も熟成をしているからなのだとか。確かにその分、非常に濃厚なうま味が感じられます。
新しいみりんを買ったら、料理に使う前にぜひそのまま飲んでみてください。本当に良いみりんは飲んでも美味しいと言われています。その昔、台所でこっそりみりんを飲むというのが女中たちの密かな楽しみだったという話も残っています。
みりん活用レシピをご紹介
それではそんなみりんを活かした料理レシピを3つご紹介したいと思います。
(1)鰯(いわし)の梅煮
【材料(2人分)】
・鰯 6尾
・生姜 適量
・梅干し 2個
・水 1/2カップ
・酒 1/2カップ
・醤油 大さじ1と1/2
・みりん 大さじ2
【作り方】
1:鰯はうろこを取って頭を切り落とし、腹わたを除いて洗い、3つほどに切る。生姜は千切りにする。
2:鍋に水と調味料を沸かし、煮立ったら具材を入れる。
3:落し蓋をして15分ほど煮たら出来上がり。
【一言メモ】
鰯には血液をサラサラにして脳の働きを高める効果のあるDHAが豊富です。みりんと生姜が魚の臭みを抑えてくれます。梅煮にすることでさっぱり仕上がり、口当たりの良い一品になります。
(2)恵方巻きの具材にも 椎茸とかんぴょうの煮物
【材料】
・かんぴょう 20g
・干し椎茸 4つ
・醤油 大さじ1
・みりん 大さじ1
・砂糖 大さじ1
【作り方】
1:かんぴょうは水で洗って茹でる。干し椎茸は水で戻して細く切る。
2:鍋に具材を入れ、干し椎茸の戻し汁に水をひたひたになるまで加える。さらに調味料を加え、落し蓋をして15分ほど煮て出来上がり。
【一言メモ】
巻きずしの定番のかんぴょうと椎茸の煮物ですが、普段のごはんのおかずとしても使えます。甘辛い味がごはんによく合います。
かんぴょうには食物繊維やカルシウム、マグネシウムなどのミネラル類が豊富で身体の調子を整えてくれますよ。
(3)蓮根とこんにゃくのピリ辛煮
【材料】
・蓮根 100g
・こんにゃく 1/2枚
・唐辛子 1本
・ごま油 大さじ1
・出汁 1/2カップ
・醤油 大さじ1と1/2
・みりん 大さじ2
【作り方】
1:蓮根は皮をむいて乱切りにする。こんにゃくはスプーンでえぐるようにして一口大に切る。唐辛子は小口切りにする。
2:鍋を熱し、こんにゃくを乾煎りして水分を飛ばす。油をひき、蓮根と唐辛子を加えて軽く炒める。
3:出汁と調味料を入れて10分ほど煮たら出来上がり。
【一言メモ】
こんにゃくは包丁で切るよりスプーンで切った方が味の染み込みがよくなります。蓮根のシャキシャキした食感とこんにゃくの歯ごたえの組み合わせが楽しい一品です。食物繊維がたっぷりとれるので、便秘を予防し、腸内環境を整えてくれますよ。
いかがだったでしょうか。甘味だけでなくうま味も加わり、食材に対していろんな効果のあるみりん。同じ料理でも「みりんだけ」「みりんと砂糖」「砂糖だけ」では仕上がりの味が違ってきますので、ご自分の好みに応じて使い分けみるとおもしろいですよ。