早いものですね。気付けば、来月にはもう新年がやってきます。お正月は美味しいものが多くて、ついつい食べ過ぎてしまったこともあるのでは? 正月太りになってしまった! と、いうことがないように、本みりんを使った低糖質なおせち料理で健康的にお正月を過ごしましょう。
そもそも、本みりんとはどんな発酵食品?
本みりんは、もち米、米麹、焼酎(アルコール)からできています。
これらを混ぜ合わせて寝かせておくと、米麹の酵素がもち米に含まれるデンプンを時間をかけて分解、熟成していきます。熟成中は酵素の働きにより、たんぱく質がアミノ酸を分解、旨みが増していきます。十分に熟成したものをこせば、本みりんの出来上がりです。
絞った後に残った粕も無駄にはしません。奈良漬などの粕漬けに使われています。こうして完成した本みりんは、アルコールを含んでいるため酒類として扱われます。
一方、本みりんと名前が似ている、「みりん風味調味料」というものもあります。
みりん風味調味料は、米や米麹を原材料にしますが熟成はしておらず、糖や水あめなどを加えて、本みりんと似たような味に仕上げています。
熟成はしていないので、もちろん発酵食品としての栄養素も含みません。アルコールを含まないので酒類の扱いではなく、価格もリーズナブルです。
本みりんはなぜ甘い?
本みりんの甘みが強いのは、もち米のデンプンが糖化してぶどう糖の一種に変化するからです。
ごはんを口の中でよく噛むと、唾液と混ざり甘く感じられますよね。これは唾液に含まれている消化酵素が、ごはんに含まれるデンプンを麦芽糖という糖分に分解しているからです。本みりんを作るときも、これと同じような変化が生じており、もち米のデンプンが分解されて、ぶどう糖を主とする甘みの素が作られているのです。本みりんには、その他にもオリゴ糖などの糖が多種含まれているため、砂糖とは違いとても優しい甘さになります。
本みりんをお料理に使うと何がいいの?
本みりんはアルコール成分を含んでいますから、お肉やお魚などの臭みを取り除きたいときに役立ちます。煮立てた煮汁の中にわざわざ臭い消し用のお酒を加えなくても、本みりんを加えた煮汁で煮れば、臭いを消してくれるところが便利ですね。
しかも本みりんには甘みもありますから、《酒+砂糖+醤油》が必要な煮物も《みりん+醤油》の2種類の調味料で作れます。
照りや艶を出したいときもおすすめです。照りを出して見た目に美味しそうにするだけでなく、旨み成分アミノ酸が深いコクを生み、お料理を一層美味しくしてくれます。お料理が「あまり得意じゃないわ」という方でも味付けが決まりやすくなるのも利点です。
本みりんと砂糖どちらがいいの?
本みりんと砂糖(上白糖)はどちらも甘み成分です。料理にはどちらを使えばいいのでしょうか?
まず、糖質を比較してみましょう。砂糖と本みりんの糖質の量を比較すると、100g中に上白糖は99.2g、本みりんは43.2gの糖質を含んでおり、本みりんのほうが少ないことがわかります。
次にビタミンやミネラルについて。上白糖は、精製過程においてビタミンやミネラルが失われてしまっています。本みりんの栄養素は全体で見れば微量ですが、失われずに残っています。
さらに、本みりんには必須アミノ酸であるロイシンや、疲労回復に役立つクエン酸など体に良い成分も含まれています。ビタミンやミネラルと同様に摂取量は微量ではありますが、食事は毎日のことですから、体に良い影響をもたらすものを、コツコツ摂っていくことが大切。
つまり、本みりんを使うと、砂糖より大幅に糖質オフを実現でき、必要なビタミンやミネラル、アミノ酸やクエン酸なども一緒に取れるんです。まさに一石二鳥! 女性にとってはとても嬉しい限りです。
本みりんでおせちを作ろう
伊達巻
【材料】
卵 4個
はんぺん 1枚(100g)
みりん 大さじ3
醤油 小さじ1
塩 ひとつまみ
油 適量
※ミキサーと玉子焼き用フライパンを使用します。
【作り方】
1:卵を割りほぐす。はんぺんを一口大にちぎっておく。
2:ミキサーに卵、はんぺん、みりん、醤油、塩を加え攪拌する。
3:玉子焼き用のフライパンを加熱し油を塗り、2を流しいれる。とろ火(場合によってはさらに弱い火力で)15分蓋をし焼く。(蓋がなければアルミのバットなどで代用する)
4:ひっくり返しさらに5分焼く。
5:巻きすで巻いて、両サイドを輪ゴムで止めて粗熱を取る。
黒豆煮
【材料】
黒豆 100g
みりん 大さじ4
砂糖 小さじ2
醤油 小さじ1/2
鉄釘(あれば)
【作り方】
1:黒豆を洗いたっぷりの水に一晩漬けておく。
2:つけ汁を含めた水分1ℓと鉄釘を入れ落とし蓋をし、1~1時間30分ほど弱火で煮る(途中水分がなくなったら水を足す)。
3:豆が指でつぶせる硬さになったら、みりんと砂糖を加える。さらに30分煮る。
4:醤油を加え、煮立たせ火を止める。ひと晩おいて味をしみ込ませる。
いかがでしたか? 本みりんの隠れた魅力には驚かされましたね。お正月はぜひ本みりんを使って、縁起がよく、心も体も喜ぶおせち料理で新しい1年を祝いましょう!