健康に意識をしている方で玄米を食べている方もいらっしゃいますが、中には「良いのはわかるけど玄米はちょっと苦手……」という方もいるのではないでしょうか。実は、私も以前は白米をやめて玄米を食べていたのですが、続かなかった一人です。
その理由は、まず美味しく炊くのが難しいこと。お米に水を吸わせるのに丸一日かかってしまうのは大変です。そして毎日となると、玄米の風味が強すぎておかずが楽しめなくなってしまうことがありました。
そんな時、昔大学で習った「分づき米」の存在を思い出しました。実際に試してみるとその食べやすさに驚き、それからはずっと分づき米を炊いています。今回はそんな分づき米の良さをご紹介しましょう。
玄米をちょっと精米したものが分づき米
分づき米とは何かを一言で言うと「玄米と白米の中間」のお米です。玄米からぬか層と胚芽を取り除くと白米になりますが、このぬか層と胚芽を”ちょっと削った”ものが分づき米です。
分づき米には、白米に近いものでは”七分づき米”、玄米に近くなると”三分づき米”といった具合に、度合いもいろいろ存在します。
並べるとこんな感じ。色の濃淡が並んで精米の度合いの違いが一目瞭然ですね。
分づき米のここがスゴい! 3つの特徴
では、この分づき米の利点をご紹介していきましょう。
(1)白米と同じように炊ける
お米を美味しく炊くためには、事前に米粒の中に水を吸わせることが必須条件です。玄米は硬い殻に覆われている状態のため、なかなか中に水が入っていかず、丸一日かかってしまうのですが、分づき米は外の殻がなくなっているので、スッと水が入っていき、白米と同じ吸水時間で炊けます。
これなら前もって計画的にお米に水を張っておく必要がありません。もちろん、土鍋でも美味しく炊けてしまいます。

日頃愛用している土鍋
(2)言われないと気付かないぐらいの白米っぽさ
玄米は食感が白米と大きく異なります。もちろんそれが好きという方もいますが、逆に苦手な方も多いですよね。しかし、分づき米は驚くほど食感が白米に近いのです。
僕は一度、黙って五分づき米を使った炊き込みご飯を振る舞ったことがあります。ほんのり薄口醤油の色がついていたので色ではわからなかったこともありますが、みんなそれを白米だと思って食べていて、僕が種明かしをするまで気付かれませんでした。それぐらい白米と同じ感覚で食べられます。
もし五分づき米でも玄米っぽいなと感じた場合は、少し精米度合いを上げて七分づき米にすれば、より白米感が増しますよ。
ちなみに、僕は今三分つき米を食べています。三分でもこの白さです。
(3)栄養素が白米よりうんと多く含まれている
肝心の栄養素ですが、もちろん玄米ほどではないのですが、白米に比べるとその差は歴然です。
たとえば、体内の幅広い代謝にかかわるミネラル成分であるマグネシウムは100g当たり玄米49mg、五分づき米22mg、白米7mg(以下、同様に玄米、五分づき米、白米の順)、糖質の代謝に必要なビタミンB1は0.16mg、0.08mg、0.02mg、食物繊維は1.4g、0.8g、0.3gと、玄米には及ばないものの、白米を食べるのに比べれば格段に多くの栄養素を摂れます。
さらに精米度合いを下げて三分や一分づき米にすれば、栄養価はより玄米に近くなります。
分づき米はどこで買える?
この分づき米ですが、残念ながらスーパーで扱っているところはまったくと言っていいほどありません。ではどこで買えるのかというと、お米屋さんです。きちんと商売をしているお米屋さんであれば「○分づきでお願いします」というと精米してくれるはずです(時間がかかることもあるかもしれないので、事前に聞いてみると良いです)。対応してくれるかどうで良いお米屋さんを選ぶ基準にもなりますね。
僕がいつもお米を買っているのは表参道に唯一あるお米屋さん「三代目小池精米店」です。同じ県で作られた同じ品種のお米でも誰がどういうふうに作っているかで美味しさは変わります。店主の小池さんは自分の目と舌で「これは」というものを取り扱われている方です。通販でも分づき米が選べるようになっています。
また、自宅用精米機を購入するという方法もあります。最近ではかなり小型のものが手に入るので、場所を取りません。その日によって「今日はしっかり栄養をとるために三分にしよう」「今日はカレーだから白米にしちゃおう」など、玄米があれば自由に精米することができます。
なるべく多くの栄養をとることを考えると玄米のほうが良さそうですが、利便性や美味しさを犠牲にしすぎると辛くなります。バランスのとれた分づき米をぜひ一度お試しください。きっとご満足いただけますよ。