発酵食品を食べると良いって聞くけど、レシピが限定されてて毎日食べられない。でもチーズなら様々な料理に加えるとアレンジになり、料理の幅が広がりますよね。ただ「チーズって健康にいいか分からない」と言う声も多く聞きます。
執筆者は、現在総合病院で看護師として働いています。患者様からも、「カロリーが高いからチーズはダイエットには良くないと思ってました」との声を聞くことがあります。結論から言うと、チーズは毎日食べても大丈夫です。適量を摂取する分には何も問題ありません。それだけでなく、栄養素が高いため健康・美容に良いこともたくさん。この記事を読んで、チーズを食べて健康的な体を手にいれる一歩を踏み出してください。
チーズの種類って?
公正競争規約による定義によると、チーズはナチュラルチーズとプロセスチーズの2種類に分類されます。
チーズの製法
ナチュラルチーズとは乳などを乳酸菌と凝乳酵素によって固め、一定期間熟成させたものです。
プロセスチーズとはナチュラルチーズを粉砕し加熱、溶かした後、乳化させたものです。
さらに、ナチュラルチーズはフランスの熟成方法による分類で以下の7種類に分類されています。
フレッシュチーズ
カッテージ・モッツアレラ・クリーム・マスカルポーネなどが挙げられます。一般的に、熟成していないものを示します。やわらかく、味や匂いにクセがないので、そのまま食べることが多いです。
白カビチーズ
カマンベールなどが挙げられます。チーズ表面に白カビを植えつけて熟成させることが特徴で、内部は黄色がかったクリーム状になっています。
ウォッシュタイプ
ボン・レヴェック、マンスティールなどが挙げられます。表皮を塩水やワインやビールなどで洗いながら、特殊な菌で熟成させます。匂いが強いことも特徴のひとつです。
シェーブル
山羊乳で作るチーズの総称です。ピラミッド、バノンなどが挙げられます。フレッシュからハードタイプまで種類があり、熟成が進むと香りも味も濃くなることが特徴です。
青カビタイプ
ゴルゴンゾーラなどの三大ブルーチーズが挙げられます。製造過程で青カビを内部に混ぜることで青緑色の大理石状の縞模様をつくります。中心から外側へ熟成が進みます。よく熟成したものは強い風味があり味も濃厚です。
セミハードタイプ
ゴーダ、ラクレットなどが挙げられます。細菌によって熟成され、長期保存ができることが特徴です。ナチュラルチーズの中で最も種類が多いです。
ハードタイプ
チェダーチーズやパルミジャーノ・レッジャーノが挙げられます。硬く、長期保存可能なことが特徴です。熟成が穏やかに進むチーズなので食べ頃が長く続き、様々な料理で楽しむことができます。
※参照:雪印メグミルク「チーズクラブ」
チーズを作る微生物の種類
チーズをつくるときに発酵を開始するもの(スターター)として乳酸菌とカビがあります。
乳酸菌スターター
乳酸菌は、炭水化物(乳糖など)を分解して乳酸を生成する菌の総称です。
乳中の乳糖を分解して乳酸を生成、各種プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)を産生してタンパク質を分解することで、次のような働きをします。
- 有害微生物の増殖を防ぐ。(乳酸)
- レンネット(凝乳酵素)の凝乳作用を助ける。(乳酸)
- カード粒の結着を強め、ホエイ(乳清)を排出しやすくする。(乳酸)
- 熟成中には、主にタンパク質を分解し、特有の風味をつくり出す。(各種プロテアーゼ)
- 熟成に必要な乳酸菌数を増やす。
乳酸菌の種類によって乳酸を生成する能力と酵素を産生する能力が異なり、主として乳酸をつくる菌と風味をつくる菌に分けられ、チーズの種類によって複数の乳酸菌を組み合わせて使います。
カビスターター
カビを利用するチーズを作るときに、乳酸菌スターターとともに使われます。 ゴルゴンゾーラなどは青カビ、カマンベールなどは白カビが主として使われています。
カビは各種プロテアーゼとともにリパーゼ(脂肪分解酵素)を産生して、特有の風味や組織をつくり熟成を進める働きがあります。
※引用:一般社団法人日本乳業協会「乳と乳製品のQ&A」
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発酵食品として優秀なチーズの健康効果
チーズはカルシウムの重要な供給源であるばかりでなく、タンパク質、さらにはリン、ビタミンA、亜鉛も含まれています。牛乳を飲むとお腹が痛くなってしまうような、牛乳に含まれる乳糖を消化することができない方にとって、チーズは特に重要な栄養源となります。チーズの製造過程において乳糖が自然に除去されるため、食べてもお腹が痛くなることがないからです。(注:絶対に腹痛が出現しないわけではありません)特にナチュラルチーズには、乳糖がほとんど含まれていません。
骨粗鬆症予防
チーズはカルシウムが豊富に含まれており、吸収率も高いことが特徴です。よって1 日に必要な摂取量を手軽にとることができます。カルシウムは健康な歯や骨をつくり、全身の健康状態を良好に保つ働きをします。
便秘解消効果
チーズには乳酸菌が含まれているので、整腸効果により便秘を改善してくれます。乳酸菌がいるナチュラルチーズでも、おすすめは整腸作用に加えて抗炎症作用もある青カビタイプのチーズです。青カビのクセが苦手な人は、白カビチーズでも効果が狙えます。
一方プロセスチーズはナチュラルチーズを加熱して作っているため、便秘解消効果はありません。
免疫効果
チーズは、健康と美容に欠かせないビタミンAも豊富に含んでいます。ビタミンAは、皮膚や目の粘膜、歯などの健康を維持するのに役立ち、病気に対する抵抗力となる免疫系の維持に関与します。不足すると、皮膚の乾燥や夜盲症、感染症への感受性の増加、骨の成長不良などにつながる可能性があります。
ダイエット効果
チーズに含まれるタンパク質は身体の代謝アップに効果的です。加えて、ビタミンB2は、脂質の代謝を促進する効果もあります。ただし、カロリーが高いためたくさん食べてしまうと逆効果です。適度な量を保って食べるようにしてください。取り入れるのであれば、比較的低脂肪・低カロリーのフレッシュチーズ、中でもカッテージチーズ、モッツァレラチーズがカロリーが低めでおすすめです。
美肌効果
チーズに豊富に含まれるビタミンB2は、肌のターンオーバーを促進する効果があるので、健康的でイキイキとした美しい肌を作ってくれます。
中でも、イチオシなのがカッテージチーズです。抗酸化、抗炎症作用があり、肌の老化や乾燥を防いでくれるセレンと、若さを保つためのミネラルが含まれているので高い美肌効果が期待できます。
美髪効果
タンパク質が、強くて美しい髪の毛を育てる手助けをしてくれます。また、ビタミンB2は新陳代謝に関わる栄養素で、髪の毛などの細胞の再生産に重要な働きをしています。
発酵食品×チーズのおすすめな組み合わせ 簡単レシピ
発酵食品の組み合わせのポイントは二つです。塩分をコントロールすることと、なるべく生か低温調理とすることです。
チーズを含めた発酵食品は、発酵の力によってうまみも栄養素も十分に含まれていますが、発酵食品同士を組み合わせて食べると良いとされています。発酵に作用する微生物は単品であれば摂れる菌が限られますが、数種類を組み合わせることで一度に複数の有益な菌を摂ることができます。さらに、発酵食品にはうまみが多く含まれますので相乗効果でおいしさが増すのです。
しかし、健康に良いからと言って、摂りすぎには注意が必要です。
発酵食品は、塩分が強いものも多くあります。例えば、キムチや味噌、醤油などの塩分が高いものは食べすぎると、むくみや高血圧の原因となります。チーズと発酵食品のどちらかは塩分の少ないものを使うことがおすすめです。
また、発酵食品に含まれる有益な微生物の多くは40℃以上の熱で死滅してしまいますので、生きた菌を摂るためには生のままか低温加熱で調理することが推奨されます。
納豆×プロセスチーズ 乗せてそのまま食べるだけ
- 納豆に付属のたれの2/3を混ぜ耐熱皿に広げて乗せます。
- その上にプロセスチーズを乗せてレンジ500wで1分加熱。
そのままご飯やトーストに乗せても美味しいです。
酒粕汁×チーズ 罪悪感なしグラタン
- ハム・ブロッコリー・サツマイモを1口サイズに切っておきます。
- サツマイモ・ブロッコリーを電子レンジ600Wで4分~6分加熱します。
- 耐熱皿にサツマイモ・ブロッコリー・ハムを入れ、酒粕汁ととろけるチーズをまんべんかくかけます。
- オーブントースターでチーズがとろけるまで焼いたら出来上がり。
クリームチーズ×ヨーグルト 砂糖を使用しないレアチーズケーキ
- ヨーグルト200gを混ぜて柔らかくします。
- クリームチーズをよく練り、柔らかくします
- ヨーグルトをクリームチーズに入れてよく混ぜます。
- ゼラチン5gに水を入れて軽く混ぜ、500wの電子レンジで20秒加熱して混ぜます。
- 生地を少し入れて馴染ませて、戻してよく混ぜます。
- 型に入れてよく混ぜます。
- 冷蔵所で一晩冷やし固めます。
発酵食品のチーズを食べて健康生活◎
美味しいだけでなく健康・美容にも良いチーズ。身体のためにも、ぜひ日々の食事に取り入れて気軽に食べていただきたいです。
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