発酵食品が空前のブームですが、この夏最も注目を集めている水キムチをご存じですか?
夏本番。湿度が高い夏日には、食欲も下がり気味ですね。ただでさえ食欲が落ちがちな夏場、さっぱりとしたものが食べたいけれど、栄養のあるものってなかなか取ることが難しく、日々の食事に悩む方も多いと思います。そこで、この夏おすすめしたいのが「水キムチ」。
水キムチはどんなキムチ?
水キムチは、「キムチ」という名前から韓国料理ではスタンダードな発酵食品ではありますが、いわゆる私達になじみのあるキムチのように辛くありません。韓国では日常的に食卓にのぼる、「水=つけ汁」につかった状態のお漬物です。
味は浅漬けのようにさっぱりとしていて、酸味がさわやか。唐辛子を使ったキムチと違い、辛くなく、つけ汁ごといただけるので夏のこの時期にはぴったりです。
漬物とはいっても、日本の漬物と違う点はやはりそのつけ汁にあるといえるでしょう。つけ汁の原料は米のとぎ汁で、そのつけ汁に野菜を漬けて数日置くと発酵し、野菜の皮に付着している常在乳酸菌が急激に増え、乳酸菌の酸によりつけ汁ごと発酵します。
本場韓国では、その乳酸菌たっぷりのつけ汁に着目し、夏の暑い時期などには、食事の際にその汁をまず先に飲んでから食事をする、ということも多く見受けられます。
韓国では年間を通して食べられる水キムチですが、日本ではなんといっても夏におすすめ。湿度が高く食欲が落ちがちな夏はそうめんやあっさりしたものを取りすぎ、栄養が偏る傾向にあります。
水キムチもさっぱりとした味わいですが、不足しがちなビタミンやミネラルを補うことが可能です。冷蔵庫にある材料で手軽に作ることができ、また、冷蔵庫の整理にも一役買ってくれます。特別な手順もなく、とても簡単に作ることができるので、是非ともチャレンジしていただきたい一品です。
水キムチのここがスゴイ!
水キムチの大きな特徴としてまずあげられるのが「乳酸菌の多さ」。植物についている乳酸菌が水キムチになることで劇的に増えるのです。同じ漬物で乳酸菌量が多いことで知られる「ぬかみそ漬け」と比較しても、その量はなんと19倍!
しかも、植物由来のいわゆる植物性乳酸菌とよばれる乳酸菌は、ヨーグルトなどの動物由来の乳酸菌と異なり、胃酸に強く腸まで届くといわれています。野菜と一緒に食べることにより、野菜のビタミンや食物繊維も同時に接収することができ、腸内細菌のエサの役割も果たすため、腸内環境を整えてくれます。夏はどうしてもさっぱりしたものを食べたくなるため、ビタミン類などが不足しがちですがこの水キムチなら、栄養面も十分に補ってくれます。
水キムチの作り方
【材料】
・あら塩(野菜用)小さじ2
・米のとぎ汁(2度目にといだのものを一度沸かして冷ましたもの)400ml
・お好みの野菜合計500g
・しょうが3cmくらいのスライス5枚
・にんにく(おこのみで。なくても可)小1かけ
・あら塩(つけ汁用)小さじ2弱
・てんさい糖小さじ1
・唐辛子(種をぬいたもの)小さめ1本
※野菜は、キュウリ、大根、カブ、セロリ、ニンジン、プチトマト、白菜パプリカなどお好みのものでOK。アクやクセのない野菜が向いています。
【作り方】
1. 米のとぎ汁を一度沸騰させ、てんさい糖、つけ汁用のあら塩小さじ2を入れ、冷ましておく。
2. 野菜類は食べやすい大きさに切る。切った野菜に野菜用のあら塩小さじ2をまぶし、30分程おいて水分を出す。
3. 2の野菜から出た汁を捨て、手でしぼり、キッチンペーパーなどで水分を拭き取っておく。
4. 材料が全て入る大き目の保存容器に、3の野菜、1の冷ましたとぎ汁とあわせてなじませる。
5. 4に、種を抜いた唐辛子、ショウガ、包丁の背でつぶしたにんにくを入れる。
6. 夏なら半日~1日、冬なら2、3日程常温でおく。発酵し、つけ汁に細かい気泡がでてきたら冷蔵庫へ保管する。5日ほどで食べごろになる。
冷蔵庫で2週間ほど保存可能です。お好みでリンゴや梨のイチョウ切り1/4個分を入れるとフルーティーな味わいになりますよ。
リンゴは色が変わりやすいので気になる方は早めにいただくか、2、3日後くらいに瓶に入れる時期をずらすとよいでしょう。
水キムチのつけ汁は発酵してくると、漬物らしい香りと酸味を帯びてきます。浅漬けタイプが好きな方は4、5日程度の浅漬けがおすすめですが、しっかりした漬物の味を楽しみたい方は1週間ほどしっかり漬けてからがいいでしょう。
発酵のスピードは最初の常温保管の室温にもよりますので目安にしてください。そろそろかな? と思ったら味見をして、お好みの漬かり具合を確かめてみてくださいね。
水キムチは、漬物だけでなく、お料理のアレンジとしても役立ちます。次回はそのアレンジ方法をご紹介しますが、まずは野菜を切って漬けるだけの簡単漬物としての水キムチを楽しんでみてください。