このサイトを訪れる皆さんは、ただ発酵食品をとるだけでなく「自分で作りたい」もしくは「すでに自分で作っている」という人も多いのではないでしょうか。実は、私自身もすっかり発酵に魅せられて家でいろんなものを醸(かも)しています。
自分で作る発酵食品は格別です。発酵を経て食べものが変化するのを目で見られますし、ちょっとした生き物を飼っているような感覚にもなって楽しめます。そして何より美味しくて安心! 一度発酵にハマると抜け出せなくなってしまうような魔力があります。
しかし、時には失敗することも。発酵には温度管理が鍵ですが、これがなかなか自宅では難しいのです。そんな悩みを見事に解決してくれる素晴らしい文明の利器が”醸し器”です(いわゆるヨーグルトメーカー)。今回はこの醸し器を実際に手に入れて使ってみたので、その使い勝手を皆さんにご紹介したいと思います。
温度管理と時間設定が完璧にこなせる

マルコメ「糀美人」
今回購入したのは、マルコメさんが出している「糀美人」という機械。価格は6,000円ちょっとでした。

温度設定もボタン一つでバッチリ
ボタンを使った操作は簡単です。温度は20〜55℃の間で1℃単位に調整可能。タイマー設定は1〜48時間で設定できます。
この醸し器一つあれば、甘酒、塩麹、豆乳ヨーグルト、納豆などの発酵食品が好きなだけ作り放題です。まさに夢のような機械。
現在、炊飯器を発酵器がわりに使われているかたも多いと思います。炊飯器を使うと発酵させている間はごはんが炊けなかったり、保温の温度設定ができないために、酵素が活発になる温度を維持できない心配もあります。それがこの発酵専用器を使えばどうなるのか。早速レポートしていきましょう!
まずは手始めに甘酒を作ってみる
まずは甘酒を作ってみることに。作り方はごくごく簡単で、糀100gに同量の水を加えて醸し器に入れます。

入れた図
ちなみに、この分量でできるのはかなり濃い甘酒で甘麹(あまこうじ)とも呼ばれているものです。僕は料理にも使いたいのでこれで作りました。
55℃に設定し、8時間タイマーをかけます。夜にセットしたので、ちょっとワクワクしながら眠りについて翌朝……。

見た目に変化が
おそるおそるスプーンで一口食べてみると……「甘い!!」しっかりした甘さにビックリしました。これまで魔法瓶などで作った甘酒とは甘味の力強さが段違いです。
「これが麹菌を至適温度で働かせた時に発揮する力なのか……」と、温度管理の重要性を実感しました。

出来た甘味は瓶に入れて冷蔵庫へ。料理にも使えます。
続いて納豆に挑戦 まずは大豆を茹でるところから
続いて自家製の納豆に挑んでみることにしました。自分で作った納豆って、なんか浪漫を感じませんか?
ということで、大豆を茹でるところからスタートです。大豆をよく洗い、たっぷりの水に一晩浸してたくさん水を飲ませ、鍋であくを取りながら弱火でグツグツ一時間ほど茹でます。途中で水が少なくなったら適宜差し水を加え、大豆が簡単に指で潰せるようになったら頃合いです。
いよいよ醸し器の出番
さあ、大豆が茹で上がったら醸し器の出番です。専用の容器に茹でた大豆と納豆をスプーンに軽く1杯加えて混ぜます。

大豆が熱いうちにやるのが雑菌を繁殖させないコツです
納豆を作るときは45℃で24時間発酵させます。甘酒を作るのは麹菌ですが、納豆は納豆菌。菌が違えば好む環境も発酵にかける時間も異なるのですね。

納豆菌は酸素を必要とするため、内蓋はせずにふきんをかぶせます
あとは待つのみです。
糸を引いている! 感動の対面
タイマーが「ピーッ」と鳴り、中を覗いてみます。

あ! 納豆っぽい!
何やら納豆っぽいものができています。そして、ものスゴい納豆の良い香りが漂います。

納豆になっています
お箸でかき混ぜてみると、ちゃんと糸を引いており、昨日茹でた大豆が納豆に変わっていました。感動の瞬間です。
このままだとアンモニア臭が強いので、冷蔵庫で一晩寝かせます。そして翌日ようやく自家製納豆を口にできました。

タレは醤油麹と亜麻仁油。薬味はねぎと麻の実で
食べてみて感じたのは豆のうま味。市販されている納豆よりも大豆の力強い味を感じました。手前味噌ならぬ、手前納豆ですが、今まで食べたどの納豆より美味しかったです。
ということで、今回は発酵器をご紹介させていただきましたが、実際に使ってみてその便利さを実感しました。もちろん、機械を使わずに自然の気候でじっくり発酵させるのも楽しいですが(実際、僕も醤油麹や豆乳ヨーグルトは自然に発酵させています)、常温で発酵させるのが難しいときは機械の力を借りると手軽に美味しいものができます。
今回紹介した発酵器以外にも、他メーカーからいろいろなタイプの発酵機が出ています。見比べながら検討されてみると良いかもしれません。