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秋田の郷土料理しょっつる鍋の作り方|お家で手軽に伝統の味を楽しめるレシピ

執筆者 山形ゆかり | 更新日:2023.12.2
秋田の郷土料理しょっつる鍋の作り方|お家で手軽に伝統の味を楽しめるレシピ

しょっつる鍋は、秋田県の伝統的な郷土料理で、「しょっつる」と呼ばれる魚醤を使用した鍋料理です。

しょっつるは、秋田県の県魚であるハタハタに塩を混ぜ、重石をのせて1年以上かけて発酵して作られます。
この発酵過程でできた上澄液がしょっつると呼ばれる魚醤です。

しょっつる鍋は、昆布で出汁をとり、味噌、みりん、酒、しょっつるを組み合わせて味を調え、主にハタハタと野菜を一緒に煮込みます。
しょっつる鍋は、深みのある味わいと独特のクセが特徴で、鍋以外にもラーメンやうどんのスープとして食べられることもあります。

しょっつるとは?

しょっつるとは?

しょっつるは秋田県の伝統的な調味料で、塩魚汁とも書きます。
江戸時代初期から秋田県で製造され、その歴史と伝統を受け継いでいることで有名です。

ハタハタなどの魚に塩を加え、1年以上かけて熟成させて作ります。
主成分はアミノ酸やペプチドで、これがしょっつるのうま味と少しクセのある風味を生み出しています。

同じく魚醤のひとつである、ナンプラーに近い風味があります。
深いうま味があるので、料理に使うとコクを出してくれます。
うまみ成分が豊富で、必須アミノ酸もたっぷりと含まれている発酵食品です。

しょっつるの原料のハタハタは秋田県の特産魚で、淡白な味わいとやわらかいふわふわとした食感が特徴です。
スズキ目ハタハタ科に属する小型の海水魚で、全長は約20cm程度。
からだの色は褐色で、鱗がなく、口が上向きについている特徴的な見た目をしています。

主に北海道、東北、山陰などの日本の北方地域で親しまれており、名前の「ハタハタ」は、雷鳴音が由来です。
しょっつる鍋以外にも、塩焼きや煮付けなどでもおいしく食べられます。

しょっつる鍋の作り方

しょっつる鍋の作り方

しょっつる鍋はご家庭で簡単に作ることができます。
各家庭によってそれぞれの作り方がありますが、ここでは基本的な作り方をご紹介します。

材料(4~5人分)

ハタハタ
8尾
野菜(白菜、セリ、にんじん、長ねぎ、しいたけ、豆腐など)
適量
しょっつる
100ml
昆布
10g
1.5L
味噌
大さじ2
みりん
大さじ2
大さじ

作り方

  1. 鍋に水と昆布を入れて火にかけ、沸騰したら昆布を取り出します。
  2. ハタハタは頭、尾、内臓を取り除き、洗って水切りしておきます。
  3. 野菜は食べやすい大きさに切っておきます。
  4. 鍋を火にかけ、煮立ったら味噌、みりん、酒、しょっつるで味を調えます。
  5. 2と3を入れ、ふたをして煮込みます。
  6. 具材が柔らかくなったらできあがりです。

しょっつる鍋の作り方のポイント

しょっつる鍋は気軽に作れますが、ポイントやアドバイスを押さえて作るとよりおいしくできますよ。
以下に、ご紹介します。

ハタハタについて

ハタハタを調理する際には、塩を振って1時間ほど置くと、臭みが取れてよりおいしくなります。
オスは、脂ののったほっこりとした味わいの肉質、メスは抱える卵である「ブリコ」のプチプチとした食感が特徴で、鍋にすることでより一層引き立つのでどちらもおすすめです。

ハタハタの切り方は、頭を切り捨てる場合と頭を落とさない場合の二つの方法があります。

頭を切り捨てる場合は、ハタハタの頭を切り落とし、内臓を取り除きます。
内臓を取り除く場合にはブリコ(卵)を傷つけないように慎重に行いましょう。

頭を落とさない場合、ハタハタのノドのあたりに小さな切り込みを入れ、内臓だけを取り除きます。

どちらの場合も、ブリコ(卵)は絶対に捨てないようにしましょう。
軽く洗って水切りして下処理は完了です。

しょっつるについて

しょっつるは入れすぎると塩辛くなってしまいます。
味見をしながら 少しづつ入れるといいでしょう。
しょっつるだけの味付けでも十分うま味のある鍋になりますが、味噌を一緒に入れるとさらに深みのある味わいが生まれます。
各メーカーによって、それぞれ風味や香りが異なるので、お好みのものを探すとより自分好みのしょっつる鍋を作れますね。

しょっつる鍋のひと工夫

具材を煮込む前に、鍋にホタテの殻を敷いてから具材を入れると、うま味が増します。
秋田の方言では、しょっつる鍋をしょっつるかやき(貝焼き)と言い、この名前からもわかるように、大きなホタテ貝の殻を鍋の代わりに使っていたといわれています。

セリなどすぐに火が通る野菜を入れる場合は、他の具材に火が通った後、最後に入れましょう。
フタをして蒸らしたらできあがりです。

しょっつる鍋のアレンジ

しょっつる鍋はアレンジしても楽しめます。

具材としてエビや貝類、鶏肉などを加えたり、しょっつるの代わりに他の魚醤を使用したりするのもいいでしょう。

使う魚はハタハタが一番おすすめですが、ハタハタ以外の旬の白身魚を具材として使用することも可能です。
青魚は臭みが出やすいので避けた方が無難です。

また、しょっつる鍋にチーズを加えてクリーミーさを楽しんだり、カレー粉を加えてスパイシーな風味をプラスすることもできます。
​​また、レモンや酢を加えて酸味をたすのもおすすめです。
酢を加えることで、しょっつるのコクが引き立ち、さっぱりとした味わいになります。

さらに、わさびや唐辛子を加えるのも試してみてください。
辛味がしょっつる鍋のアクセントとなり、刺激的な味わいが楽しめますよ。

しょっつる鍋のQ&A

しょっつる鍋のQ&A

最後にしょっつる鍋について、よくある質問をご紹介します。

しょっつる鍋はいつ食べるの?

しょっつる鍋は主にハタハタを具材にすることが多いので、ハタハタが獲れる11~12月に食べられることが多いです。
寒い冬の期間に食べるとからだがぽかぽかと温まり、とくにおすすめですよ。

一方、しょっつるは一年中手に入るので、ハタハタ以外の具材でのしょっつる鍋は季節問わず、食べることができます。

秋田県でしょっつる鍋に入れる材料は?

秋田県でしょっつる鍋に入れる材料は、ハタハタ、野菜(白菜、にんじん、長ねぎ、しいたけ、豆腐など)、しょっつる、昆布、味噌、みりん、酒などが一般的です。​​
発祥地の男鹿ではシンプルにハタハタだけの汁が食べられています。

ナンプラーでも代用できる?

ナンプラーはしょっつるの代用には適していませんが、しょっつる鍋風の鍋として楽しめます。
ナンプラーのクセは加熱するとほとんど消え、強いうま味だけが残るのでそのうま味を利用するといいでしょう。

ナンプラーとはタイ料理に使用される別種の魚醤で、しょっつるとは異なる味わいを持っています。
ナンプラーは主にカタクチイワシを使って造られ、少し甘みがあります。
しょっつるの方が若干甘みが少ないという特徴があるので、代用する場合にはそれを踏まえて調整しましょう。

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しょっつる鍋はアレンジの幅も広く、具材や味付けもお好みに合わせてアレンジすることもできます。
ぜひ寒い冬に作ってからだの芯からぽかぽか温まってくださいね。

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執筆者
山形ゆかり

薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。発酵あんことキムチが大好き、三児の母です。 薬剤師として総合病院で勤務する際に、糖尿病病棟を担当。食の大切さ・楽しさを深く感じ、食に関する資格を取得しました。現在は健康・美容に関するレシピ提案や撮影・執筆活動など、フリーランスにて活動しております。子供たちと気軽にできる発酵料理を日々研究中!

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監修

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圓尾和紀(まるお・かずき)

管理栄養士。静岡県立大学で修士号を取得後、管理栄養士として総合病院に勤務。現在は独立し、日本の伝統食とファスティングの良さを伝える活動に携わる。メディア出演多数、著書 『一日の終わりに地味だけど「ほっとする」食べ方』(2017年)。

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