日本の気候と先人の知恵が結集した発酵食品。古くは食品を長期保存する知恵として発達したこの技術が、実は健康や美容にも良いということがわかってきました。
今回は、そんな発酵食品の中でも、日常の食生活にぜひ取り入れていただきたい「醤油麹」の利点と簡単な作り方をご紹介したいと思います。
目次
醤油を使う頻度が減るぐらい美味しい醤油麹
醤油麹とは、醤油と米麹を使った発酵調味料です。自宅でも簡単に作ることができ、醤油代わりに料理に使えるので、手軽に活用することができます。
醤油麹の利点のまず1つ目は、なんといってもその美味しさ。米麹の麹菌によって、甘みの成分やうま味の成分が作られるため、普通に醤油を使うよりも味わいや香りが豊かに。一度醤油麹を使いはじめると、醤油麹ばかり使ってしまって醤油が減らなくなるぐらいです。
麹菌が作った酵素が食べたものを代わりに消化してくれる
醤油麹の良い点は、美味しさだけではありません。その健康効果も大注目です。
まず、麹菌が作り出す消化酵素が素晴らしい働きをしてくれます。麹菌が作り出したいくつもの種類の消化酵素によって、私たちが食べたものの消化を助けてくれるので、胃腸の負担が減り、栄養素の吸収率も向上します。
人間は年齢を重ねると体内の消化酵素の量も減ってくると言われているので、これは誰にとっても嬉しい効果ですね。
腸内細菌を整えて、病気の予防やアンチエイジングにも
麹菌にはさらなる健康効果が隠されています。それが整腸作用、つまり腸の調子を整えてくれるのです。
腸の中には100兆個(重さにして1kg以上!)の腸内細菌が住んでいるとされ、中でも善玉菌と悪玉菌の割合が重要とされています。麹菌には、この善玉菌を増やしたり、その活動を応援するような作用があると言われており、腸内細菌を整えることに一役買っています。
とくに女性の場合は、ガンの部位別死亡数で大腸がんが1位になっているので(国立研究開発法人国立がん研究センターの「2016年のがん罹患数、死亡数予測」による)、日頃から腸内細菌を整えておくことはガン予防のためにも非常に大事ですし、腸内細菌が悪いと老化も進みやすいので、アンチエイジングのためにも積極的に発酵食品をとっていただきたいと思います。
簡単、混ぜるだけ! 醤油麹の作り方
それでは、いよいよ、その醤油麹の作り方をご紹介していきましょう。市販でも醤油麹は売られていますが、材料も自分で選べるので安心して使える自家製がオススメですよ。
【材料】
・米麹 200g
・醤油 200cc
米麹はぜひ、麹屋さんで買ってみてください。調べると、意外と近くに老舗の麹屋さんが残っていたりしますし、遠方であっても通販で購入が可能です。
【作り方】
1.麹をボウルに入れてもみほぐし、ぎゅっと握るとまとまりができるぐらいまで、よくもみ込む。
2.醤油を回し入れ、少しとろみがついた感じになるまで、よく混ぜる。
3.保存容器に移し入れ、軽く蓋をして(麹菌が呼吸をするので、完全に密閉しないように)、1日1回、箸などでかき混ぜる。日の当たらない室温に放置し、夏場であれば発酵が早いので10日間ほど、冬場であれば2〜3週間ほどで完成です。
毎日かき混ぜた後、箸についた醤油麹をなめて、熟成具合を舌で確認してみてください。だんだんと醤油の辛さのかどが取れて、まるく、まろやかになっていくのが感じられます。
出来上がったら発酵が進みすぎないように、冷蔵庫で保管します。2ヵ月ぐらいで使い切りたいところですが、時間が経つと熟成が進んで独特の風味が出るので、それが好きという方もいます。様子を見ながら、半年ぐらいまで使えます。
普段使っている醤油の代わりに手軽に使える醤油麹
醤油麹の活用法ですが、そんなに難しく考えなくてもよくて、醤油感覚で手軽に料理に使うことができます。たとえば、お浸しや和え物の醤油代わりにもなりますし、納豆のタレの代わりに醤油麹で食べると、その美味しさに感激します。
また、マグロをひと晩漬けて漬け丼に。肉や魚を漬け込んで焼けば、身も柔らかく仕上がります。卵焼きの卵液に混ぜて焼いても美味しいですよ。ただし、米麹の粒は焦げやすいので、焼く時は指などで米麹の粒を落としてから焼くようにしてください。
ほんのひと手間かけるだけで、自家製の醤油麹が出来上がります。ぜひ、その味を味わってみてください。自分の手で作った調味料は愛着がわいて、料理が楽しくなりますよ。