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発酵食品の微生物一覧|実は知らないはたらきや種類を徹底解説!

執筆者 安田あかり | 更新日:2023.8.25

「発酵食品に含まれる微生物ってどんなものがある?」
「発酵に関わる微生物って何しているの?」
「強い効果を持っている微生物っているの?」

発酵食品が身体に良いというのはご存じだと思います。
発酵食品が作られるには微生物が関わっているのですが、その発酵食品にはどんな微生物が存在しているのか、微生物がどんな働きをするのかまではあまり知らないですよね。

そこで今回は管理栄養士である私が、発酵食品の製造に欠かせない微生物について一覧にして詳しく解説をしていきます。
どんな種類の微生物がどんな働きをしているかを知ると、より発酵食品への理解が深まりますよ。

発酵食品と微生物はどんな関係?

発酵食品と微生物の関係

発酵食品を作るうえで微生物の存在は欠かせません。
発酵食品は、食品に乳酸菌や麹菌といった微生物がついて活動し、発酵することによって出来上がります。
微生物は食品に存在することで生きるためのエネルギーを獲得し、発酵食品は微生物が発酵活動をすることによって食材の味や栄養価が高められています。

発酵とは?腐敗との違いについて

発酵と腐敗とは、微生物の活動のプロセスをさすものですが、そのプロセスを経て作られる副産物が人間にとって有益な物質ならば「発酵」、逆に人間にとって有害なものであるならば「腐敗」です。
微生物は自身の生命活動をする上で、エネルギーを獲得する必要があります。
そのために食品に含まれる炭水化物やたんぱく質などの有機物を分解し、副産物を作り出します。
例えば、牛乳を常温で放置しておくと、雑菌などの腐敗菌が増殖してしまい、それを人間が飲むと下痢や嘔吐といった食中毒を引き起こします。ところが、牛乳に腐敗菌ではなく、乳酸菌が入るとヨーグルトになり、腸内環境を整えるなどの有益な働きをします。
いずれも微生物の力によって物質が変化することを指す言葉ではありますが、人間にとって有益であれば「発酵」、有害なものであれば「腐敗」ということです。

微生物とは何?どんな働きをする?

微生物とは、私たちの目には見えない非常に小さな生物のことで、細菌・菌類・ウイルス、原生動物などが含まれます。
発酵に関わる微生物は主にカビ・酵母・細菌のうちの一部ですが、微生物は自分が生きるために、食品から栄養分を摂ります。
栄養分を摂り、エネルギーを得ようとする過程で、いろいろな物質を体内で作り、その一部を体外に分泌します。これらの一連の流れを発酵と言います。
例えば、酵母菌はお酒の製造に欠かせない微生物です。
酵母菌は糖をエサにして分解するときにアルコールと炭酸ガスを発生させ、発生したアルコールによってお酒が作られるのです。

発酵食品と関係する微生物一覧

発酵食品と関係する微生物一覧

発酵食品と関係する微生物を一覧にまとめてみました。

カビ麹菌(甘酒、日本酒、しょうゆ、みそ)
青カビ、白カビ(チーズ)
カツオブシカビ(かつお節)
酵母酵母菌(酒類、パン、しょうゆ、みそ)
細菌乳酸菌(ヨーグルト、漬物)
酢酸菌(米酢、リンゴ酢などの食酢)
納豆菌(納豆)
酪酸菌(ぬか漬け)

発酵に関わる3種類の主な微生物+α

発酵に関わる3種類の主な微生物

発酵に関わる微生物は「カビ」「酵母」「細菌」の3種類です。
それらの3種類について詳しく解説をしていきます。

カビ

「カビ」と聞くと、水回りの掃除を怠ると発生してしまうカビを想像してしまいますが、カビも種類によっては、発酵食品を作るために欠かせない微生物です。
カビはチーズやみそなどの発酵食品を製造する際に使われます。

特徴

細胞の中に核をもち、有機物を分解してエネルギーを獲得している微生物で、4万種類ものカビが存在していると言われています。
カビはほとんどが有毒で、発酵食品に使われるのはごく一部のカビです。

働き

発酵食品が利用するカビの働きとして、酵素(アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ)を作り出すことが挙げられます。

酵素の種類働き
アミラーゼでんぷんを分解して糖を作り出し、甘みを出す
プロテアーゼたんぱく質をアミノ酸に分解し、うま味を出す
リパーゼ脂肪を脂肪酸に分解する

種類

発酵に関わるカビの種類としては「コウジカビ」「クモノスカビ」「アオカビ」が挙げられます。

カビの種類一覧特徴
コウジカビ麹菌と言われているものは「アスペルギルス・オリゼ」
アスペルギルス・オリゼは無毒のコウジカビであり、
同じコウジカビの中でも、人間に有害なコウジカビもいる。
日本酒やみそ、甘酒などのもとになる麹を作り出す。
クモノスカビ中国や東南アジアで使われるカビ。
くもの巣のような形状から名づけられた。
紹興酒や白酒(バイチュウ)の発酵に関わる。
青カビ・白カビ青カビはブルーチーズ、白カビはカマンベールチーズを
はじめとしたナチュラルチーズの製造に使われる。

酵母

酵母はビールやパンなどの製造に使われますが、いずれも「サッカロミセス・セレビシエ」という名前です。
ビール酵母もパン酵母も清酒酵母も同じ「サッカロミセス・セレビシエ」ですが、株が違います。

特徴

酵母は円形または楕円形の形状で、単細胞の微生物で、ワインやビール、日本酒、パンの製造に使われる菌です。

働き

酵母は糖分を分解し、アルコールと炭酸ガスを生み出します。
ワインやビールなどアルコールは酵母の活動によって生み出されたものです。
パンの場合は酵母が生成する炭酸ガスがパンを膨らませています。

細菌

特徴

細菌は細胞核を持たない原核生物で、大きさは0.001mmほどと非常に小さいです。
細菌には、発酵食品のような人にとって有益な働きをするものがある一方で、腸管出血性大腸菌やサルモネラなどの食中毒をおこす細菌として知られています。

種類とそれぞれの働き

発酵に関わる細菌として主に挙げられるのは「乳酸菌」「納豆菌」「酢酸菌」の3つです。

細菌の種類一覧特徴と働き
乳酸菌ヨーグルトや乳酸菌飲料の製造に関わる細菌。
糖分をエサにして、乳酸を生み出す。
乳酸は酸性のため、雑菌の増殖を防ぎ、食品の保存性を高める。
人間の腸内において、腸内環境を整える。
納豆菌納豆の製造に関わる細菌で、熱に強い特性を持つ。
加熱した大豆に加えるとたんぱく質を分解し、アミノ酸を生成。
酢酸菌米酢、リンゴ酢などの食酢の製造に使われる細菌。
アルコールを酸化させることによって酢酸を作り出している。
酢特有の酸味は酢酸由来のもの。

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この発酵食品にはこの微生物が入ってます!一覧表で解説!

発酵食品の微生物の一覧表

微生物についてご紹介をしましたが、今度は食品ごとに含まれている微生物を一覧にして解説をします。

分類食品発酵に関わる微生物
穀類パン酵母菌
豆製品納豆納豆菌
野菜類すぐき漬け、柴漬け
キムチ、ザワークラウト
ピクルスなど
乳酸菌
ぬか漬け乳酸菌
酪酸菌
肉類生ハム、サラミ
ドライソーセージなど
乳酸菌
魚介類くさやくさや菌
塩辛乳酸菌
なれずし酵母菌
乳酸菌
かつお節カツオブシカビ
乳製品ヨーグルト乳酸菌
チーズ乳酸菌
白カビ
青カビ
調味料類みりん麹菌
ワインビネガー
リンゴ酢
米酢
酢酸菌
しょうゆ麹菌
酵母菌
乳酸菌
ナンプラー
しょっつる
乳酸菌
みそ
豆板醤
コチュジャン
麹菌
酵母菌
乳酸菌
甘酒麹菌

調味料や漬物など、私たちに身近な食品だけでなく、肉類や魚介類などにも発酵の技術は使われています。

微生物を活かして発酵食品を食べるには?

微生物を活かして発酵食品の「食べ方」

発酵食品は人間の腸内環境を整えたり、健康維持に役立ったりとさまざまな効果があります。

実は発酵食品の「食べ方」によって、効果をより引き出すことも可能です。
発酵食品の効果をより引き出すための食べ方は以下の4つが挙げられます。

  • 組み合わせて食べる
  • 食物繊維と食べる
  • 加熱を避けて食べる
  • 毎日継続して食べる

1つずつ詳しく解説します。

組み合わせて食べる

発酵食品は、複数の種類を組み合わせて食べることで効果が高まります。
発酵食品を単品で食べても、もちろん美味しく、栄養価も高いですが、摂取できる菌に偏りができてしまいがちです。
発酵食品を複数組み合わせて食べれば、複数種類の菌を同時に摂れて、栄養価もアップします。
例えば「納豆+キムチ」の組み合わせだと、納豆には納豆菌、キムチには乳酸菌が含まれており、納豆菌が生産する物質は乳酸菌のエサになりますので、乳酸菌の活動が活発になります。
また、「甘酒+ヨーグルト」の組み合わせもおすすめです。
甘酒には麹菌、ヨーグルトには乳酸菌が含まれていますが、麹で作った甘酒には乳酸菌のエサとなるオリゴ糖が含まれているため、乳酸菌の働きを良くします。
このように、菌同士が影響し合うことで効果がより見込めるということです。
発酵食品同士は味の相性も良い傾向にあるので、美味しくいただけます。

食物繊維と食べる

食物繊維は善玉菌のエサとなるため、発酵食品と一緒に摂取することで効果を高められます。
善玉菌は腸内環境を良くする腸内細菌ですが、大好物は食物繊維やオリゴ糖です。
食物繊維やオリゴ糖をエサとして食べた善玉菌は活性化し、発酵活動をより活発にしたり、増殖をしたりします。
結果、腸内の善玉菌が増えて、腸内環境が良くなります。
発酵食品を食物繊維を含む野菜などと一緒に食べると良いでしょう。

加熱を避けて食べる

発酵に関わる菌は加熱することで失活してしまうため、加熱して食べることをおすすめします。
腸内に生きたまま菌が届くことで腸内環境の改善がより期待できます。
ちなみに納豆に含まれる「納豆菌」は熱に強い特性を持つため、熱いご飯の上にのせても納豆菌は死滅しません。

毎日継続して食べる

発酵食品は1回食べただけでは効果を感じられるわけではありませんし、食べてから効果を感じられるまでにある程度の時間もかかります。
また、体内に入った菌は約48時間で排出されてしまうため、継続的に発酵食品を取り入れることが重要です。
2週間ほど期間をとって発酵食品を少しずつ取り入れてみましょう。

実は身近な発酵と関わる微生物◎

実は身近な発酵と関わる微生物

発酵に関わる微生物は大きく分けて「カビ」「酵母」「細菌」の3種類が存在し、発酵食品によって使われる微生物が違うということを解説しました。
どのような微生物が、どのように働いて発酵食品ができるのか、人間の身体に作用するのかなどを知ると、発酵食品への理解が深まります。
ぜひ発酵食品を身近に取り入れて、健康維持に役立ててくださいね。

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執筆者
安田あかり

管理栄養士資格を取得後、有料老人ホームや大学に勤務。 有料老人ホームでは、献立作成や食材発注業務を経験。 その後、管理栄養士学科のある大学の助手として、管理栄養士を目指す学生へのサポートに尽力しておりました。 また、スキルアップのため、フードコーディネーター2級の資格も取得。 現在はWebライターとして「根拠のある内容を分かりやすく伝える」を意識し、ためになる情報をお伝えします。

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